社会科学読書ブログ

社会科学関係の書籍を紹介

コラム

新世代の若者たち

私は曲がりなりにも所属組織では若手のつもりでいたし、若手職員の世代を幾分代表しているような気持にもなっていた。だが、最近の新入社員を見ていると、私などもはや若手ではないということに気付く。最近の新入社員は私などよりもっとドラスティックに現…

職場のマウンティング合戦をどう回避するか

草食系のおとなしい人ばかりの職場なら問題はありません。ところが、それなりに給料の高い職場だと、バリバリに野心を抱いている人が結構いたりします。そういう人に多いのがマウンティング傾向です。とにかく他人に負けたくない。何とかして他人よりも上に…

仕事と読書

社会人で読書の習慣を持っている人は意外と少ない。たまに読書が趣味だという人がいても、読んでいる本は小説かビジネス書である。確かに小説は娯楽になるし、ビジネス書は実践的かもしれない。だが私はそれ以外の読書をぜひとも推奨したい。それは例えば、…

ダイバーシティと危害原則

ダイバーシティと危害原則は矛盾しないだろうか。多様な個性の存在を認め、不均質な集団から積極的な価値を作り出していくという多様性の主張は、場合によっては他人に危害を加える人間の個性のことも容認することになりはしないか。 例えば、ある集落に意地…

組織を下から少しずつ変える

働いている人ならだれでも経験はあるだろう、誰かが定時に帰ってくれたおかげで自分も躊躇少なく早く帰ることができた、という経験。日本の職場は様々な旧来の慣行によって強く縛られている。その慣行を良い方向に仕向けてくれる人が一人でもいると、他の人…

パワハラについての考察

パワハラ行為はそれだけ取り出してみると確かに犯罪的な暴力行為である。だが、加害者がパワハラ行為に及ぶまでの経緯や職場の構造に注目してみると、パワハラ行為は加害者の性格だけではなく職場の構造的問題にも由来することが多いように思われる。 パワハ…

超勤を申告するか問題

勤務時間をタイムカードで管理していて、時間外労働については確実に残業代を払う会社なら何の問題もない。ところが弊社では超勤をする場合はまず伺いを立て、決裁をもらったうえで実際に働き、のちに実績を報告するというシステムを採用している。そうする…

用地職員の仕事

用地職員の仕事は風景に始まり風景に終わる。これから工事を施工しようとする現場の土地を踏査することから始まり、工事が完了した後の土地を検査することで終わる。工事施工前の現場の風景を見ることから始まり、工事施工後の現場の風景を見ることで終わる。…

ロックという生き方

音楽のジャンルとしてのロックは1960年代ごろから栄え、今や多くのサブジャンルに細分化された巨大で複雑な現象であるが、ロックミュージシャンたちがとっていた基本的な態度というものがあると思う。もちろんミュージシャンはそれぞれに異なった価値観…

人生の正午

人は40歳くらいになるとそれまでの人生を振り返り、「自分の人生はこれで本当によかったのか」「自分の人生は空虚だったのではないか」という疑念に襲われることがよくあるらしく、この時期を「人生の正午」と呼ぶ。ちょうど人生の真ん中の折り返し地点で…

元研究者志望者の社会人としての就職について

私は大学院を修了している。初めは研究者を志望していたのだ。だが、アカデミックポストをめぐる現在の状況を鑑み、早いうちから自立するため普通のサラリーマンとして就職した。そこで直面したのはカルチャーショックだった。研究者の世界と社会人の世界で…

早朝出勤について

うちの会社の出勤時間は8時30分である。だが私はいつも7時には出勤している。その前は一年間ほど6時に出勤していた。 早朝出勤には理由がある。まず、私は夜の残業が好きでないこと。夜の残業は仕事の効率が悪く、かつバイオリズム的に言って健康にも悪…

メンタルヘルスとハラスメント

企業は生産性を上げるため、経営学的観点から業務の効率を上げようとする。その観点から職員の心の健康をケアするメンタルヘルスや職員の業務効率を下げるハラスメントの防止を語ることもできる。だが、メンタルヘルスとハラスメントの思想の根底には、個人…

仕事と教養

会社で働いていると、同僚のほとんどは教養を持っていない。それでも会社は問題なく回っていくのである。そのような状況を見ていると、やっぱり教養なんて社会で何の役にも立たないのだなあ、と思ってしまいがちである。だが、教養それ自体というよりも教養…

出世拒否

私は地方の比較的大きな企業に勤めている。比較的地位は安定しているが、組織の体質が古く、今までひどく苦労してきた。 入社一年目は良い上司と同僚に恵まれ、また結果を残すことができて順調だった。ところが二年目は打って変わって超ブラックな職場になっ…

世代間の齟齬について

私は地方の比較的大きな企業に勤めているのだが、最近特に管理職の世代と若手の世代との価値観の相違が際立ってきていると感じている。今、労働環境は転換期に来ていて、新しい価値観が次々と市民権を得てきていると同時に、それに対応しきれていない古い世…

環境問題の本質

環境問題の本質は、「失敗から学ぶことで対応できない」ところにあると思う。正確には、「失敗の際に起こる被害が甚大すぎて、そこから学んだのではとても利益と損失のバランスが取れない」ということだ。 普段我々が事務処理などをしている場合、ミスをして…

事なかれ主義について

よく、「役所は事なかれ主義で…」などと言われる。実際、役所に限らず、組織というものは自浄作用があり、多少の不祥事をいちいち表沙汰にはしない。事を表沙汰にしてその対応に追われ社会的信用を失うコストに比べれば、内部においてしっかり紛争解決や再発…

社会人2年間やって分かったこと

1. 会社はゲゼルシャフト 組織の中で、社員はそれぞれの役割を果たすことが第一の目的である。上下の階層の中で、期待される役割を果たすことが第一の目的である。そのために仕事上の人間関係は生じるが、それはあまりウェットなものにはならない。職場で…

文学の社会的機能

社会は個人に対して物質的で不条理であるというイメージが強い。あるいは社会は個人がその役割を果たすことにより自己実現するステージであるという積極的なイメージもある。だが、積極消極いずれに解するにせよ、個人と社会との関係はおおむねパブリックな…

法制度と国民の意識の乖離

いくら法制度が変わっても、国民の意識が法制度通りに簡単に変わらないことはよくある。例えば、日本国憲法施行後も、とくに農村では旧来の家父長制イデオロギーは温存されたし、戦後の新しい民法が施行されても、対等で主体的な個人などというものは生活レ…

焦点化された歴史

編年体の通史には中心人物や中心事件が存在しない。人物や事件は相対化され、それぞれだいたい等しい重みでもって記述される。また、編年体の通史においては、出来事の解釈が平準化され、テーマというものが漠然としている。そこでは神の視点からの歴史記述…

自己決定権の相互譲渡

アルカイックな多くの社会においては、神々が人間を支配し、人間は神々の決定に身を任せ、さらには神々から権限を受け継いだ王の決定に身を任せていた。神々は人間にその存在そのものを贈与しているだけでなく、自然の恵みや天候などをも贈与しているのだか…

主体なき政治

政治というものは様々な意味合いがあるが、基本的に支配権をめぐる争いだと考えておく。それは価値観を巡るイデオロギー闘争でもありうるし、文学作品の解釈をめぐる解釈論争でもありうるし、美術界における権威を巡る争いでもありうる。つまり、政治や経済…

社会的意識について

社会的意識とは、簡単に言うと、自己だけが世界の中心ではなくなるという意識である。自己に関係する利害だけに興味を持っている状態から、直接自己に利害的に関係しなくても、世の中に起こっている出来事に世界の中心を置き、その立脚点に立って世の中を見…

孤独の定義

孤独とはなんであろうか。私は、孤独を「交易不全」として定義したい。人間は交易する存在であり、互いにモノや感情や情報をやり取りする存在である。ところで、人間が他人と接触する場合、たいていこの交易の成就を求めているのであるし、人間が交易する場…

被害者意識について

何か大きな被害を受けたとき、人間は損害を被る。それは物理的な損害でもあれば精神的な損害でもあるだろう。被害者は加害者からその完全性を奪われたわけであるから、加害者に対して完全性を補償せよと要求することができる。これは矯正的正義と呼ばれるも…

歴史を学ぶ意義

人間に与えられているのは、厳密に自分の人生のみである。他人の人生も与えられていると言われるかもしれないが、それは伝聞の域を出ず、他人の人生について体験の質は伴わない。繰り返すが、人間に与えられているのは、自分の唯一の人生のみである。だが、…

成熟と社会

個人の意識のありようが変わっていくことで、法制度や社会制度は漸進的に変わっていく。もちろん専門的な領域などそうでないところもあるだろう。だが、基本的に、この生きられた社会にこそ、社会のルールを決める源泉があり、その生きられた社会の価値観は…

「個人の尊厳」と「平等原理」

個人の尊厳は日本国憲法の基本原理である。個人主義に基づき、全体主義を排し、個人の人格を不可侵のものとみなす。一方で、平等原理もまた憲法上の原理であり、同一条件の者には均等に機会を与えるというものである。これら二つの原理は、日本の最高法規で…