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社会科学読書ブログ

社会科学関係の書籍を紹介

審級の利益

上訴制度というものは、原審の不当・違法による当事者の不利益を救う制度だとされる。だが、一審も控訴審も上告審も、同じように誤りうるのではないだろうか。一審よりも控訴審・上告審のほうがより正しいという保証はどこにあるのだろうか。 控訴審だって事…

比較

刑事訴訟における請求の趣旨は「被告人をXに処する」であり、請求原因は公訴事実であろう。とすると、訴訟物は請求の趣旨と公訴事実によって決まるのだから、例えば「被告の窃盗行為にもとづく刑罰権」のようなものだと思われる。 民事訴訟においては弁論主…

意思と判断

裁判とは、裁判所の「意思」や「判断」を外部に表示する行為であるとされる。だが、ここでなぜあえて「判断」の表示まで裁判に含めているのであろうか。民法や行政法だったら、意思の表示を行為としてとらえていて、判断の表示は特に行為としてとらえていな…

重点講義第1講「民事訴訟の目的」

本論文は、民事訴訟の目的には諸説があるが、特定の説と特定の解釈論などを論理的に結びつけるのは困難であり、あらゆる解釈論などはあらゆる目的論と結びつきうることを示し、目的論を詳細に検討しなくても民事訴訟の研究はできるとする「棚上げ論」を提唱…

株主総会と民事訴訟

株主総会も民事訴訟も、複数の人々が意見を出し合って問題に対してひとつの結論を出すと言う意味では共通している。だが、もちろん様々な違いがある。(1)手続の適正迅速の要請について 民事訴訟では、公の資源である裁判所を使用するため、無駄のない適正…

「訴えの利益」は誰の利益か

一言に訴えの利益というが、それはいったい誰の利益だろうか。「訴えの利益がない」というとき、そこでは誰にとって利益がないといわれているのか。訴訟に関する主体には、原告・被告・裁判所・納税者・社会などがあるが、誰の利益が問題になっているのか。 …

権利保護の資格

訴えの利益は、(A)権利保護の資格、(B)権利保護の利益、から構成されているが、権利保護の資格はさらに(1)訴訟物が具体的権利関係・法律関係であること(権利性)、(2)訴訟物についての攻撃防御方法に法が適用できること(法律性)、から構成され…

自由意思の有無による手続の分類

私的な紛争処理、調停、仲裁、裁判の分類を、当事者の自由意思の観点から試みてみる。当事者に自由意思があるかどうかは、(1)紛争解決手続きを始めるか、(2)解決の内容をどうするか、(3)解決の内容に同意するか、という3つのレベルで問題になる。…

訴えの利益と当事者適格

訴えの利益と当事者適格は、それほど判然と区別できないのではないか。訴えの利益は、権利保護の資格(法律上の争訟であって一般的に本案判決による処理に適する)、権利保護の利益(具体的に本案判決を求める現実の必要性・実効性)により構成される。当事…

証拠共通

共同訴訟人間では証拠共通は認められるが、主張共通は認められないという。だが、民訴39条の趣旨からしたら、証拠共通も認められないはずではないか。証拠共通が認められる理由として、自由心証主義の下ではひとつの歴史的事実の心証はひとつしかありえな…

公定力と形成判決

行政行為の違法性は取消訴訟で争うことになっている。行政行為の効力を否定できるのは、職権取消、取消訴訟、不服申立だけであり、その手続的制限から反射的に、公定力なる実体的効力が論じられたりする。 雇用契約の解除(解雇)は、その効力を特定の訴訟形…

形成判決

日常生活では、要件事実の存否について特に争いなく物事が運んでいく。売買契約の成立があったら、その成立を適式に証明することなく、代金や引渡しを請求する。だが、裁判においては、要件事実の存在を証明し、請求権の存在を確認し、給付判決を下す。厳格…

権利自白

原告が物権的請求権を訴訟上行使するための請求原因として、原告が当該不動産について所有権を有していることがあげられたりする。だが所有権を有するということは事実ではなく法的評価なので、請求原因としては本来ふさわしくないが、被告が原告の所有権を…

22条2項

民事訴訟法22条2項 移送を受けた裁判所は、更に事件を他の裁判所に移送することができない。 この規定は、裁判所が事件を返送したりたらい回しにしたりすることを禁じる規定であるが、学説によれば移送決定確定後の新事由に基づく再移送は認められるし、…

主張責任と証明責任が乖離したら?

さて、原告が請求を立て、請求原因が真偽不明だったとき、すなわち、原告の証明が不十分で、請求原因の「真実の高度の蓋然性」が得られなかったとき、その請求原因は偽とされ、請求は棄却される。つまり、原告には主張責任も証明責任もある。 だが、もしも、…