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社会科学読書ブログ

社会科学関係の書籍を紹介

法哲学

リーガルマインドの体系化

法律学の基本書を読んでいると、法解釈における学説の対立において、著者の一定の立場が示される。その際に、特に根拠もなく、この説が妥当である、みたいな書きぶりで済ましてあるのを目にすることがある。妥当性の根拠について説明がなされている場合もあ…

法と学説

取消訴訟を提起する際に主張する違法性として、信義則などの法の一般原則違反を主張することがある。違法と判断するためには、問題となっている処分が何らかの法に違反していなければならないが、ここで言う「法」とは法律に限らず広い意味での法である。 と…

公益と私益

公益と私益が分離されることにずっと気味の悪さを感じていた。公益は私益に還元することができないのだろうか。例えば文化の発達という公益は、個々人の生活の水準が上がるという私益に還元されるのではないか。 思うに、公益とは希釈された私益である。希釈…

差し止め

差し止めの根拠には二つあるような気がする。(1)独占を維持するためと(2)人間の尊厳を維持するため。 所有権侵害に対して、損害賠償しか認められないとなると、侵害者は賠償金を払う限り所有権を侵害し続けることができる。これでは所有権の独占的性格…

国民の信頼

立法・司法・行政いずれの国家機関であっても、それが国民の信頼を得るためには二つのファクターが必要だと思う。 (1)実際に公正なことをやっていること (2)何をやっているか国民に正確に伝わること 不公正なことをやっていることが国民に伝われば、国…

考慮要素

裁判例において、事実がある要件に該当するかの判断のレベルで、様々な考慮要素を挙げて、それらを総合考量して結論を出すというやり方がよく用いられる。例えば、任意捜査の適法性に関しては、当該捜査手段を用いることの必要性・緊急性・相当性を考慮し、…

二重の基準

法律効果を発生させるためには、事実が二つの基準をクリアしなければならない。それは、事実が、(1)すべての構成要件を満たすかという基準と、(2)そもそも特定の構成要件に該当するかという基準である。 学説は、(1)のレベルでは、法定されていない…

権利濫用

権利の濫用ですぐ損害賠償が問題になったりするが、そもそも権利の濫用の直接の帰結は権利行使の無効ではないのだろうか。権利というのは形式的・画一的・抽象的に設定されるが、その具体的な行使の現場で、権利の与えられた趣旨に反するような権利行使がな…

行為

行為というものは、それに関係する様々な人や社会に影響を及ぼす。そして、それぞれの人や社会にとってそれぞれの意味を持つ。例えば警察官が被疑者を現行犯逮捕するとき、現行犯逮捕という行為は、被疑者にとっては身体の自由の侵害であり、警察官にとって…

事実の選別

法律効果の発生の条件として、事実が要件に該当することが要求される。法律や裁判例・学説は、法律効果が発生するために満たすべき「規範」を定立し、法律家はその規範に事実があてはまるかどうかを判断する。法律の答案ではこの「規範とあてはめ」をしっか…

規範と責任

法規範は何らかの利益を実現するために規定されている。だから、法規範に違反するということは、その規範が保護する利益を害するということだ。規範の名宛人は、私人だったり国家だったり裁判所だったり検察官だったり被告人だったりする。 例えば刑法199条…

権利

権利には私権と公権がある。私人との関係における権利と、国家との関係における権利である。 そして、権利には(1)積極的側面と(2)消極的側面がある。権利を行使できるという積極的側面と、権利の侵害を防ぐという消極的側面である。所有権だったら、使…

利益による分類

それぞれの法律には達成すべき目的・利益というものがあると思われる。そもそも立法することに利益がなければ立法はしないはずである。どのような利益を実現すべく作られたのかは、目的規定に明らかにされている場合もあるが、そうでない場合もある。例えば…

法の関知しない領域

ケルゼンによると、法とは違反行為に対して制裁を与えることで一定の効果を生み出す社会的技術であり、このような違法行為には法の規定するこのような強制行為がなされねばならない、といった法命題により記述される。これは何もケルゼンの純粋法学の枠組み…

統計的・確率的思考

法律を制定するとき、統計的・確率的思考も加わっているのかもしれない。 例えば法定相続分は、子と配偶者がいるときは、子が1/2で配偶者が1/2(民法900条1号)、子が複数いればそれをさらに等分する(900条4号)。これはおそらく、遺言を残さ…

執行の内容

法律は暴力を背景に国民に命令する。不作為を命じるのを禁止、作為を命じるのを強制と呼ぶことにする。命令に違反したときに、(1)命令の内容に沿った状態を権力的に実現するか、(2)命令の内容とは無関係の法定された状態を権力的に実現するか、で命令…

法の豊かさと社会の豊かさ

刑法における、客体を物理的に損傷する罪を考える。すると、放火罪(107−110)、殺人罪(199)、傷害罪(204)、文書毀棄罪(258,259)、建造物等損壊罪(260)、器物損壊罪(261)などといった様々な罪が規定されている。 もし、…

法律学の意味論?

刑法典は、ひとつの辞書だと考えてみる。例えば刑法235条は、「窃盗犯」を「他人の財物を窃取した者」と定義しているのである。ある人が「窃盗犯」であるかどうかは、「他人の財物を窃取」したかどうかで決まるのである。 だが、刑法典の規定は抽象的で、…

情報の価値

情報は世の中にいくらでもあるのだが、特別に扱われる情報というものがある。ある情報は頻繁に参照されるかもしれないし(例えば行政規則)、ある情報は熱心に捜し求められるかもしれない(例えば書証)。ある情報は、流通がストップされ、人に知られないよ…

■目的規定 刑事訴訟法1条 この法律は、刑事事件につき、公共の福祉の維持と個人の基本的人権の保障とを全うしつつ、事案の真相を明らかにし、刑罰法令を適正かつ迅速に適用実現することを目的とする。 法律にはこのような目的規定がおかれることが多いが、…

法律の一部は、方法であり手順でありプロセスである。つまり、合理的な行為連鎖のカタログである。この行為連鎖群は合理的であることが保障されているから、それに従う者は特にその意味を考える必要はない。行為者はただ法律に従って行為すればよいのだから…