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社会科学読書ブログ

社会科学関係の書籍を紹介

ヨット係留施設の撤去

最判平3・3・8において、河川の鉄杭が危険だからということで町長が法律の根拠なくしてそれを撤去させたことの違法性が問題となった。これについて、最高裁は、鉄杭の危険性をかんがみて、町長の行為をやむをえないものとして、民法720条の法意に照ら…

行政行為と科刑

行政行為とは、国民の権利義務・法律関係を直接権力的に具体的に確定する行為のことであるが、刑罰を科する行為もまた、この行政行為の要件に該当しないだろうか。科刑もまた、国民の義務を直接具体的・権力的に形成するものだからだ。 さて、行政行為が違法…

裁量権の逸脱・濫用

行政庁に裁量が認められたとしても、その判断が全く事実の基礎を欠き、社会通念上著しく妥当でないことが明白な場合は裁量権の逸脱・濫用とされ、行政行為は違法性を帯びる。だがここで会社法の経営判断原則を思い起こそう。取締役の裁量は、(1)合理的調…

法律上保護された利益と保護法益

取消訴訟の原告適格は、行訴法9条によって、当該処分・裁決を取り消すにつき「法律上の利益」があるかどうかによって判断される。ところで、これは刑法で言う保護法益論と同じことを言っているのではないか。つまり、国家が保護する利益というものは、あら…

法と学説

取消訴訟を提起する際に主張する違法性として、信義則などの法の一般原則違反を主張することがある。違法と判断するためには、問題となっている処分が何らかの法に違反していなければならないが、ここで言う「法」とは法律に限らず広い意味での法である。 と…

申請に対する処分と信義則

行政手続は、一般に行政のはたらきの事前規制によって行政の違法を抑止しようとすることが目的とされる。だがもちろん、それぞれの手続にはそれぞれの手続特有の趣旨目的がある。たとえば不利益処分に関する手続だったら、国家の恣意的作用から国民を守ると…

国家賠償制度

国家賠償法の存在意義がいまひとつよく分からない。行政裁判所がなくなった現在、公法的な損害賠償を特別の法律で認める必要があるのだろうか。要するに、民法の使用者責任・工作物責任で充分対応できないのだろうか。過納税額について不当利得返還請求を認…

令状主義

被疑者の逮捕には逮捕状が必要である(刑訴199条1項)。ここで裁判官のチェックが入る。また被疑者の勾留には勾留状が必要である(刑訴207条1項・62条)。ここでも裁判官のチェックが入る。 だが、行政庁の権力的事実行為、すなわち代執行・直接強…

公定力と形成判決

行政行為の違法性は取消訴訟で争うことになっている。行政行為の効力を否定できるのは、職権取消、取消訴訟、不服申立だけであり、その手続的制限から反射的に、公定力なる実体的効力が論じられたりする。 雇用契約の解除(解雇)は、その効力を特定の訴訟形…

法律上保護された利益

取消訴訟の原告適格についての法律上保護された利益説が、いまだに納得がいかない。処分の根拠法が問題となっている利益を具体的に保護しているかどうかによって原告適格を画するのは、基準が明確ではあるが、その基準に必然性があるとは思えない。宇賀克也…

伊方原発訴訟判決

最判平4・10・29は、内閣総理大臣に原子炉設置許可処分についての要件裁量を幅広く認めているにもかかわらず、裁量統制としては裁量濫用型審査ではなく実体的判断過程統制審査の手法を用いている。これはなぜだろうか。行政庁の裁量が広く認められるの…