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社会科学読書ブログ

社会科学関係の書籍を紹介

非打算的な財産行為

民法学

 身分関係は、性情的・自生的・超打算的関係といわれ、財産関係は、意思的・形成的・打算的関係といわれる。また、家族法は、固有性・倫理性・客観的規範性を備え、財産法は、普遍性・打算性・合理性・任意法規性を備えるといわれる。

 婚姻の届出(739)の動機となっているものは、理屈ではうまく説明できない愛情であり、損得勘定ではない。その点で、商人の商取引行為の動機とは異なる。商人は理性的に損得勘定を行って法律行為をしている。

 だが、財産行為といってもすべてが打算的なものとは限らない。日常品を購入する行為だって立派な取引行為だが、例えば昼飯に何を食べるかを決めるのは理屈ではない。理屈ではうまく説明できない趣味嗜好であり、そこに打算は働いていない。美術品を買う行為だって取引行為だが、その美術品を買う動機は決して打算や理屈で説明できるものではないだろう。

 だから、典型的な身分行為と典型的な財産行為の間には、相対的に打算的な身分行為や、相対的に非打算的な財産行為があって、身分行為―財産行為の単純な二項対立は成立しないと思われる。