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社会科学読書ブログ

社会科学関係の書籍を紹介

疑問

刑法学

 小林憲太郎が「因果関係と客観的帰属」(弘文堂)の冒頭で、条件関係公式と結果回避可能性の話は同じことだと言ってるのだが、まともな説明がなされているわけでもなくはなはだ不親切である。なので自分で考えてみる。

 まず、条件関係は構成要件の段階の話で、結果回避可能性は責任の段階の話ではないか、というのが気にかかる。条件関係の成立は、犯罪が客観的に成立したかどうかの問題であって、それを前提として行為に責任を帰するのが妥当かどうかが問題となる。

 条件関係「行為なければ結果なし」(A)が成立するとき、因果関係の基礎が成立する。「行為がなくても結果はあった」(B)ときは因果関係の基礎すら成立しない。だが、結果回避可能性がないということは、「行為があってもなくても結果はあった」(C)ということである。結果回避可能性があるということは、「行為があってもなくても結果はない可能性があった」(D)ということのように思える。

 (B)=(C)、(A)=(D)ならば、条件関係の話と結果回避可能性の話は同じことといえるが、(B)=(C)は成立するとしても、(A)=(D)は成立しないように思える。(A)は行為と結果の厳密な関係を述べているが、(D)は行為と結果の結びつきが弱い。「可能性がある」という言葉が行為と結果の関係をあやふやにしている。

 だが、まだ初めの方しか読んでいないので性急なことは言えない。どのような論理展開がなされるか楽しみだ。

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