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少年院

 少年院のビデオを見た。少年の抱える問題を少しでも改善し、社会復帰を目指すため、職員が熱心に取り組んでいる。驚いたのは、職員と少年との間の強い信頼関係だ。実際はどうだか知らないが、あれだけ信頼できて心の奥までさらけ出せるような大人が近くにいることはとても幸福なことだと思う。たいてい誰しもが心の闇を抱えて大人になって社会生活を送るわけだが、普通に社会生活を送っていく中では、自分の内面をさらけ出すことで自分の問題点を改善する機会なんてほとんどないだろう。私が感じたのは、犯罪少年の意外な幸福さだった。

 成年の犯罪の場合、刑事手続の中で、犯罪者自身の心の闇が浄化され、真の解決が導かれるということはあるのだろうか。少年は可塑的だというが、成年だって、真剣に自分の問題と向き合ってくれる人がいれば、真人間に更正する可能性は高まるんじゃなかろうか。だが、おそらく、成年の刑事手続きにおいては、自分の心の闇を直視し、それを克服するという困難な作業は、成年自身に委ねられている。更生できるかできないかは自分しだい。少年に比べてなんて不幸なんだろう。