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公益と私益

 公益と私益が分離されることにずっと気味の悪さを感じていた。公益は私益に還元することができないのだろうか。例えば文化の発達という公益は、個々人の生活の水準が上がるという私益に還元されるのではないか。

 思うに、公益とは希釈された私益である。希釈の仕方には二通りがある。(1)多数主体がかかわる、(2)因果経過を逆にたどる。 

(1)一人しか通らない道を通行止めにしたら私益の侵害である。だが、百人通る道を通行止めにしたら公益の侵害である。百人通る場合は、個々人の利益というものはその個性が目立たなくなるし、百人通れるという価値から見たら個々人の通れる利益はたいしたことがない。個々人の利益は希釈かされ抽象化され、公益となる。

(2)優れた小説を読める、という私益を考えると、その原因となっているのは、流通過程の整備や文学文化の発達である。全体的な傾向が個々人の利益を因果経過を経て生み出すのである。私益の原因をたどると、抽象的な全体的傾向に行き着くことが多い。その抽象的な全体的傾向が公益である。

うーむ、なんだかすっきりしないな。誰か論文書いてないかな。