社会科学読書ブログ

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 民事訴訟と刑事訴訟を比べると、やはり刑事訴訟の方が、争いが峻烈な気がする。刑事訴訟では、被疑者・被告人の人権と、実体的真実発見・公益維持という利益がまっこうからぶつかっている。重大な利益同士が火花を散らしているのである。それに対して、民事訴訟は、当事者の身柄を拘束するわけでもなく、真実発見の要請も弱く、維持されるのは私法秩序である。民事訴訟では当事者同士の争いが刑事訴訟ほど峻烈ではないから、三番目の利益主体としての裁判所が前面に出てくる気がする。つまり、訴訟経済の要請である。