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上からの基礎付け

 西洋哲学の伝統として、確実な真理を基礎として、そこから演繹的に学問の体系を基礎付けていく、という方法論がある。これを下からの基礎付けと呼ぼう。ユークリッド幾何学がその典型で、いくつかの公理を前提に、論理的に諸定理を導き出していくのである。

 それに対して、法律学は、その理論のあり方を、(1)実定法のあり方、(2)紛争解決の妥当性、に依存させている。法が妥当している以上それを前提に法律学を建設せざるを得ず、一般的な正義公平の観念に照らして妥当な紛争解決をしなければ国民の支持を得られないからである。だが、実定法も、現実の複雑な事案も、公理となりうるような確実な真理ではない。そのような上位の構成物を前提に、法律学は上から基礎付けられているのである。その意味で、法律学は合理主義的ではなく経験主義的・実証主義的である。

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