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社会科学読書ブログ

社会科学関係の書籍を紹介

法哲学

 人がそこに入り込むことによって法的な権利義務が付着する、そのような時空間がある。それを法的な「場」と呼ぼう。場には普遍的な場と特殊的な場がある。

 例えば刑法によって作られる場は、基本的に日本国内に限定されるが、基本的に日本国民を生まれたときからずっと規律している。つまり、刑法によって、あらゆる日本国民は生まれたときから特定の不作為義務が課される。責任無能力者であっても、不作為義務が課されることに変わりはなく、ただ責任が阻却されるに過ぎない。その意味で、刑法によって作られる場は普遍的である。

 それに対して、民事訴訟法によって作り出される場は特殊的である。原告が訴状を提出し(民訴133条1項)、それが被告に送達された(民訴138条1項)とき、原告の行為によって、原告は自ら民事訴訟法の規律する場に入り込み、被告は他律的に民事訴訟法の場に連れ込まれる。当事者には主張立証の権利が与えられたり、自白の撤回の不作為義務が課されたりする。これは、原告の訴状提出という行為によって特殊的に生み出される場であるに過ぎない。

 今自分がただこうやってキーボードを打っているときでも、刑法の普遍的な場は自分を規律している。コンビニに行って買い物をするとき、売買契約の債権債務関係という民法の特殊的な場が作られ、すぐさま弁済によってその場は解消される。

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