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社会科学読書ブログ

社会科学関係の書籍を紹介

義務の発生根拠

法哲学

 義務が発生するためには、(1)ある人が特定の行為をとることが期待可能か、(2)その行為が目標とする利益を因果的に強く惹起しうるか、という二つの基準をクリアーしなければならないような気がする。

 例えば、子供が川でおぼれそうになっているときに、特定の人に救助義務が発生するかどうかは、(1)まずその人に救助することが期待できるかを判断し、それが肯定されたときに、(2)その救助行為が功を奏しうるかを事前的に判断する。それが肯定されればその人には救助義務が生じる。

 だから、まず、その川から遠くにいる人には救助義務が生じない。その人には救助が期待できないからである。また、川に通りかかった人には救助が期待できるが、その川が深く流れが急だったら、仮に救助のために行為を始めても救助の結果を因果的に導くことは困難であり、やはりその人には救助義務は発生しない。

 義務の発生の判断における因果関係の判断は、事前判断である。いまだ結果が発生しない状態において、その時点で存在する事情を判断基底に、その時点で分かっている因果法則を判断方法として、義務があるかどうかが判断されるのである。この点、結果発生後に判断される通常の因果関係とは異なっていて、事後判断が原理的に不可能なのである。

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