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「選任」

 人間と機械との違いが、この「選任」という言葉に現われている気がする。任命権者がある人を「選任」する場合、その人の個性や能力に着目してその人を「選び」、その人の裁量に機関としての役割を「任せ」ている。つまり、人間は機械と異なって個性があるからこそ、任命権者はその人を「選ぶ」のであり、人間は機械と異なって裁量の余地があるからこそ、任命権者はその人に「任せ」るのである。

 人間が機械と同じですべて同じ能力で同じ判断しかしないのだったら、「選任」という行為は必要ないはずである。その場合必要なのは、「設置」と「指揮監督」だけである。「選任」という言葉に、人間と機械との違いがよく現われている。