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不確定な将来のための対策

 将来は何が起こるか分からない。だが、何らかの不利益な状態になってしまってからその対策をしたのでは遅いことがある。その場合、将来の不確定性が現在に影響を与える。つまり、何が起きてもいいように今のうちに対策しておこうという発想である。

 将来の不確定性を現在化する制度として、予備費の制度、担保制度、危険犯の制度などがある。予備費は、予見しがたい予算の不足に充てるために現在において計上する金銭である。将来予算が不足しても何もできないというまずい状態を回避するために、現在において金額を計上しておくのである。担保制度は、将来債務者の金銭が不足した場合のために、現在において人的・物的に債権回収を確保しておこうとする制度である。危険犯は、将来の法益侵害を回避するため、現在において行為者を処罰する制度である。

 未来はある程度現在化されている。そして未来の現在化は法的に制度化されている。