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限界

 物事には限界がある。例えば人間関係。本当に親しくなって、たいていのことが話せるような人間関係なんてそうは作れない。親友はいても一人や二人が限界だ。この限界をわきまえないで、理想を夢見ていると、現実の壁にぶち当たって無駄に傷つくことになる。例えば、相手がそんなに自分を重視していないのに自分ばかり相手との深い関係を求めても挫折するに決まっているのだ。要は現実をよく見極めて夢を見ないこと。現実の限界を知ることだ。

 刑事裁判制度にしてもそうだ。被害者の怨念が晴らせて社会秩序が維持され加害者が更生するのは理想に過ぎない。現実は、被害者の傷はいやされず、模倣犯が増えたりし、加害者は一層社会に対する憎しみを増すかもしれない。それが刑事裁判制度の限界である。この限界を見極めず過剰に期待すると、理想通りにいかずに挫折感を味わうのだ。それは不毛である。

 しほうしけんだってそうだ。理論的な深い理解と実務的な法適用能力を十分に試そうというのは理想である。現実は、理論をよく理解せず、法適用能力が不十分でも受かってしまいかねない。しほうしけんにも限界がある。しほうしけんをきっかけに学問的な理解を本質的に高めようなどというのは理想に過ぎない。そのような理想を抱いていると、私のように、現実の試験へとむけた受験勉強を前に幻滅を抱くことになる。

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