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義務について

 義務は他者や公共の利益を図るものだと思っていたが、「利益」のような「目的」を措定しなくても、義務の本質は論じれるのではないだろうか。何かの本で、権利義務については、利益概念で説明する説と選択概念で説明する説があると読んだが、その意味がやっとわかった。

 義務とは、行為者に裁量の余地すなわち自由が少なくなった状態である。行為者の選択肢が減らされ、行為者が特定の行動をとらなければならなくなった状態である。その意味で、義務は程度概念だ。強い義務もあれば弱い義務もある。例えば、行政指導に従わなければこの契約は白紙にしますよ、という働きかけがあった場合、その契約が重要でなければ行政指導に従わなくてよい。指導によって発生する義務が弱いのである。その点、人を殺したら死刑にしますよ、という法律は、発生させる義務が強い。誰もが人を殺すという選択肢をたいていの場合除くだろう。

 自由の幅は、(1)国家によって(2)他の私人によって(3)自らによって、狭められる。刑罰法規は国家による自由の剥奪だ。契約は、他人による自由の剥奪だ。受験勉強をしなくちゃと自らに言い聞かせるのは、自分による自由の剥奪だ。法が関与するのはもっぱら(1)(2)の自由剥奪であり、それらが法的義務である。(1)は公法的義務、(2)は私法的義務。

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