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社会科学読書ブログ

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自力救済

雑感

 自分が不正な取扱いを受けたとき、それでも反撃してはいけないのだろうか。例えば、根も葉もない侮辱的な噂を流され、かといって名誉棄損で立件できるほどの違法性もないとき。法が介入するまでもない軽度の侵害でも、その侵害によって心が傷つけられることは日常生活でしばしばある。そのようなとき、反撃してはいけないのだろうか。例えば相手に対して軽い嫌がらせをする。仕返しにうわさを流してやる。ことさらに嘲笑してやる。これは正当防衛ではないのだろうか。

 正当防衛は、法の介入を待っていたのでは重大な法益侵害が生じてしまうような緊急事態において初めて認められるものである。法が介入できないような緊急時に、侵害者の法益の要保護性が低下するからそれに反撃してもよいとするものである。立件するまでもない軽度な侵害についても、「法が介入できない」という意味では正当防衛と同じ状況が出来している。法が介入してくれないような軽度の侵害については、自力救済禁止の原則は働かないのではないだろうか。

 自力救済が原則として禁止されるのは、侵害については法的な救済を待つべしとの法治主義の要請が働いているからだ。だが、軽度の侵害についてはそもそも法的な救済がなされないのだから、自らを侵害から救済するには自力救済するしかない。だから、軽度の侵害については自力救済によってしか自分を救済することはできない。

 私は、法が救済してくれないような軽度の侵害に対しては、たいてい無視するか自力救済するかのいずれかだった。だが、そのような場合でも自力救済はいけない、と考える人は多いはずだ。そのような人から見ると私はやくざ者なのだろうか。

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