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美しすぎて

 思えば大学を出てからずっと法律の勉強のプレッシャーの呪縛のもとにありました。法律の勉強を、予備校の粗悪な教材で始めた頃は、何が面白いのかさっぱり分からなかった。そういう勉強をしなければならない大変さがありました。大学院では制度に振り回され、そのストレスが大きかった。浪人のときは逆に制度の下支えがなく、とにかく法律をよく理解しなければというプレッシャーがありました。

 そういうデプレッション状態では、音楽が僕の気持をちょうどいい均衡へともたらしました。音楽による高揚によって、自分の精神状態はちょうどいい状態に保たれたのです。ところが、試験が終わってデプレッションから解放されると、音楽を聴くと過剰に感じるんですね。美しすぎるのです。俺、こんなに楽しんでていいんだろうか、的な気持ちになるんです。音楽が美しすぎて、聴くのがもったいない。聴かなくても心のバランスはとれているからです。

 たぶん僕はもっと楽しんでもいい。人生なんて何が楽しいのか分からないと思っていましたが、楽しめるときにめいっぱい楽しんでおこうと思います。僕の人生にはこれまでそういう時期がなかった。不幸なことに。