社会科学読書ブログ

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 いやー、たくいつ対策は勉強になりますね。法人の残余財産の分配って営利的なのか、でしばらく悩んでいました。一般法人法では11条2項で社員に残余財産の分配を与える定款を無効としています。一方で会社法には残余財産の分配の規定がありますし(504−506)、組合にも残余財産の分割の規定があります(民688条3項)。でも、出資しただけ戻ってきても別に営利的じゃないんじゃないの? と素朴な疑問を抱くわけです。むしろ余った財産は、初めに出した人に戻るのが適切なんじゃないのかな、と。ですが、例えば一般社団法人を運営していたら、予想外の収益が上がってしまったような場合、その残余財産を分配される社員は経済的に得をするわけですよね。とすると、残余財産を多くしようとするために、一般法人の非営利性が害される危険性が生じる。となると、やはり残余財産は社員に分配してはいけないわけです。こんな風に一つ一つ疑問を見出して納得していくのがとても楽しい。たくいつは面白いですね。

 ところで、人はだれしもがどこかで傷を負っているもの。ある友人が、試験の結果についてあれこれ批評する奴はゲスだ、と言っていました。僕は一度受けていないし今回もたくいつで落ちていますが、何を言われようとどこ吹く風です。それはやはりどこかで自分に自信があるからだと思います。法律の理解はちゃんと進んでいるし、たいていのことは理路整然と説明できるようになった。そもそも苦手だった法律学という分野であるにもかかわらず! でも、その友人は、かつて旧試験で落ちたときにあれこれ言われてとても傷ついたのだと思います。だから僕は彼の傷には触れてはいけないし、彼の嫌うような人種にはなっていけないのです。僕もいくつかの事項に関しては深く傷ついていて、そういう傷には絶対触れられたくないのですが、人によって傷を受けている場所は違うものですね。傷をなめ合う必要はないと思いますが、不用意に相手の傷に触れるのはマナー違反でしょうね。僕も触れられたくない。