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社会科学読書ブログ

社会科学関係の書籍を紹介

被害者側の過失

 過失相殺とは結局何を行っているか。それは、損害を発生させた原因が競合したときに、被害者が寄与した分については、自分で自分に害をなしたのだから、相手に対して賠償請求することはできない、という基本的態度の表れではないだろうか。自業自得の部分については賠償請求できず、加害者が寄与した部分のみ損害を賠償できるという法理である。

 過失相殺においては、被害者自身だけではなく、被害者と身分生活上一体関係にある者の過失も考慮される。これは結局、責任共同体が形成されているのではないだろうか。経済的一体性とか求償関係の簡便化とか言われるが、それよりも、身分生活上一体関係にある者同士においては、互いに配慮し合う責任共同体が形成されていて、例えば被害者の夫に過失があったときは、被害者はその夫の過失についても責任を負い、自業自得ということになり、相手に賠償請求できないのではないだろうか。

 損害を発生させた原因として、加害者以外でかつ被害者以外の者の寄与、つまり第三者の寄与がある場合、原則として加害者は全額賠償する必要はないと私は思う。加害者は損害に寄与した範囲で賠償すればよい。損害の原因として、被害者と身分生活上一体関係にある者の寄与がある場合にもそれは同様である。そして、この場合には、特に、被害者は自らが損害を引き起こしたのと近い責任関係に立つから、一体関係にあるものの過失について発生した分についてはある意味自業自得に近いものとなり、賠償請求できないのである。

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