社会科学読書ブログ

社会科学関係の書籍を紹介

西村貞二『教養としての世界史』(講談社現代新書)

教養としての世界史 (講談社現代新書 80)

教養としての世界史 (講談社現代新書 80)

 世界の主要な歴史的事実を、網羅的に拾い上げている感じ。それぞれの民族や国家の特色を簡潔に言い表したり、出来事と出来事との関連に適切に言及している。

 この本を読んで世界史の「教養」が身につくかというと疑問であり、ここに書かれたことを土台にしてさらに歴史の本を読むことで初めて教養が身につくと思われる。だから、歴史の教養を身につける出発点に位置する本だと思っていい。

 全体的に記述が簡略で、特に事件同士の因果関係など、歴史の醍醐味だと思われるが、そういうところの記述も簡略化されていたのが遺憾であった。だが、文明の発生・発展の問題や政治・経済・文化の問題など、人間や社会をめぐるあらゆる問題のきっかけとなる事実が山ほど列挙されていて、ここから考えを掘り下げていくことは我々にゆだねられていると感じた。