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社会科学読書ブログ

社会科学関係の書籍を紹介

渡辺照宏『仏教』(岩波新書)

仏教 第2版 (岩波新書)

仏教 第2版 (岩波新書)

 本書は、仏教の成り立ちからその継受にいたるまで、特にシャーキャムニの人生や思想を中心に描いたものである。この本を読んでわかるのは、仏教というものもまた、全く新しく革命的に生まれたものや、全く超越的で心的なものでもなく、それまでの在地の宗教の地盤の上に、シャーキャムニという生身の人間の生き方に基づいてできたということだ。

 仏教は「仏陀の宗教」である。仏陀とは「目覚めた人」「完全な境地に到達した人」である。仏陀は固有名詞ではない。

 仏陀の思想はいくつかのキーポイントにまとめることができる。まず、「八正道」。正しい見解、正しい決意、正しい言葉、正しい行為、正しい生活、正しい努力、正しい思念、正しい瞑想。これらは官能でも苦行でもない「中道」を説くものである。

 次は、四つの聖なる真理「四聖諦」である。苦悩とは何か、苦悩は何によって起こったのか、苦悩の超克とは何か、どんな方法で超克するか。苦悩とは「四苦八苦」、生老病死と怨憎会苦、愛別離苦、求不得苦、五取薀、である。苦悩の原因とは、官能への欲望、生存への欲望、生存の断絶への欲望である。苦悩を克服するためには、先の中道を実践するのである。

 シャーキャムニの思想は多くの共感を得、教団も大きくなり在家信者も増えた。この本は仏教のさわりの部分しか書いていなくて、その奥深さまでは判らなかったが、自分の人生の転機にそれを解決してくれるものが仏教であったとしたならば、私も仏教に帰依していたかもしれない。苦悩が強ければ強いほど、人間は心の平静を求める。心の平静を得るには仏教はとてもよさそうだ。