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社会科学読書ブログ

社会科学関係の書籍を紹介

大越愛子『フェミニズム入門』(ちくま新書)

 

フェミニズム入門 (ちくま新書 (062))

フェミニズム入門 (ちくま新書 (062))

 

  フェミニズムは近代自由主義思想のもと、「女性の自由・平等・人権」を求める思想として発展してきた。(1)第一期フェミニズムフェミニズムが自前の思想を持たず、男性から学んだ思想を理論的武器として女性の解法を模索。(2)第二期フェミニズム。男性理論の呪縛に封じ込められない女性の生身の体験を重視し、女性中心思想を夢想した。(3)第三期フェミニズム。性差別および他の諸差別を内包して成立している男性中心文化体制の全体構造を問題化する地平を開いた。

 フェミニズムは近代的な性別二元論を乗り越えるものとしてポストモダンと共通している。差別は、一見差別を否定したり他の意味に読み替えうるような言説や制度の中に根深く潜んでいることをフェミニズムは明らかにする。性差別における差別隠蔽のからくりを解き明かすことで、他の諸差別の解明にも役立っている。

 フェミニズムの基本理念として、家父長制、ジェンダーセクシュアリティ、リプロダクション、ファロセントリズムについての説明も加えられている。

 本書は、フェミニズムに入門するのにはちょうど良いと思う。論旨が明快で、かつフェミニズムがいかに前代を批判し発展してきたかがよく分かり、かつ日本のフェミニズムの発展の仕方も分かるし、フェミニズムの基本論点も分かる。新書サイズでここまで多くのことを学べるのは貴重だと思うので、フェミニズムに興味をお持ちの方はとりあえずこの本を読めば、その全体像の概略が分かるはずである。