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社会科学読書ブログ

社会科学関係の書籍を紹介

社会人2年間やって分かったこと

1. 会社はゲゼルシャフト

 組織の中で、社員はそれぞれの役割を果たすことが第一の目的である。上下の階層の中で、期待される役割を果たすことが第一の目的である。そのために仕事上の人間関係は生じるが、それはあまりウェットなものにはならない。職場で親友はできないし、困ったときに助けてくれるほど親しくなれる人もできない。基本的に職場の人間は自分の仕事をこなすことで精いっぱいで、他人の面倒なんてそんなに見ていられない。だから、社会人としてやっていくためにはまず甘えを捨てなければならない。もちろん先輩社員はいろいろ教えてくれるが、それは仕事の一環だからであって、そこから踏み込んだ関係を作ることは基本的にない。組織は家族や仲良しグループとは違う。だから、社会人は自らの原点となる信念をもって、独立して生き抜かなければならない。もちろん、愚痴などは家族や親友に言えばいい。

2.会社は成長の場

 組織の中で役割をあてがわれても、我々はそれを達成できるスキルを初めから持っているわけではない。先輩や上司に訊いたり、ウェブやマニュアルや本で調べたりして、実際に仕事をしながらスキルは身についていくのである。そして、新しい仕事をするために身に着けたスキルは、ほかの仕事をするうえでも役立っていく。例えば、エクセルで複雑なグラフを作ることが要求されても、スキルのないうちは途方に暮れるかもしれないが、いろいろ調べて身に着けてしまえば、それはその後さまざまな局面で役に立っていくのである。
 それだけではない。組織の中では報告・連絡・相談といった具合にコミュニケーションが不可欠である。ところが、組織内のコミュニケーションは独特のものであるから、慣れていないうちはなかなか思うようにいかない。余計に話しすぎてしまったり、話し足りなかったり。話の筋をきちんと整理することができなかったり、報告するまでもないことを報告したり、逆に報告しなければならないことを報告しなかったり。そのようなコミュニケーションスキルも、数こなすうちに身についていくのである。
 組織の中で仕事をしていく中で、仕事のスキルや対人スキルはどんどん成長していく。

3.会社はカオス

 組織は目標を達成するために最適化されているはずであるが、所詮人間の作ったシステムにすぎず、所詮不完全な人間の集まりであるから、論理的に体系的に動くわけではない。そこでは私情が渦巻いたり、予想外の瑕疵が見つかったり、理屈では説明のつかない意思決定がなされたりする。組織はむしろカオスだと思った方がいい。もちろん、筋道立てて説明できる部分が多いのは言うまでもないが、筋道のつかない部分も圧倒的に多いことをわきまえておかないと、そういう局面にぶつかったときに臨機応変に対応できない。理屈をこねてもどうしようもない場合はしばしば訪れるので、その時に柔軟に対応できる幅の広さを身に着ける必要がある。

4.会社は社員より強い

 個人には尊厳があるとか、個人はかけがえのない存在であるとか言われるが、組織においては全くそんなことはない。個人は代替可能な商品に過ぎない。もちろん適材適所ははかられるが、個人はあくまで組織の目標のために働くのであって、その逆ではない。だから、組織の利益の前に個人の利益が敗北することなんてよくあることで、例えば不祥事の隠蔽やサービス残業など枚挙にいとまがない。そんなことにいちいち目くじらを立てていたのでは組織では生きていけない。あくまで、自分よりも組織の方が強力であるということを自覚し、自分の分際をわきまえて行動しないと墓穴を掘ることになる。

5.会社は社員の生を充足させる

 組織は個人に役割を課し、個人の能力をなるべく多く引き出そうとする。だから仕事は個人の能力よりも少し高めのレベルに設定されることが多い。仕事は個人に決して楽をさせないので、個人は常に忙しさに見舞われる。そのようにして次々と舞い込んでくる仕事をこなしていると、個人の生は実に多彩な経験で彩られることになる。これは、社会に出て給料の対価として労働して初めて分かることである。組織の利益のために個人は動かされるわけだが、その組織の命令によって個人の生は仕事に彩られ、それが人生の大きな充実・充足を生み出す。だから、仕事は人間の生を豊かにするのである。