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超勤を申告するか問題

 勤務時間をタイムカードで管理していて、時間外労働については確実に残業代を払う会社なら何の問題もない。ところが弊社では超勤をする場合はまず伺いを立て、決裁をもらったうえで実際に働き、のちに実績を報告するというシステムを採用している。そうすると時間外労働は正確には把捉されないことになる。
 もちろんサービス残業は労働法違反であり、黙認していれば雇い主は法的責任を問われる。だが、実態として日本ではいまだにサービス残業が横行している。その理由としては、残業代が人件費としてコストとなるため、会社に超勤を申告しづらい雰囲気があることなどがある。
 また、労働者側としても、実際に労働した時間であっても、「これは自分の仕事が遅いせいだ」「これは自分の勉強のためだ」として超勤時間として申請するのを控える場合もある。職場の慣行としても、「一時間程度の超勤はつけるまでもない」「朝の超勤はつけるものではない」などの風潮があったりして、超勤の申請がためらわれることが多い。
 判例上、会社の指揮監督下に置かれた時間は労働時間であり、たとえ労働者の仕事が遅くとも、労働者が仕事に不慣れであっても、一時間の超勤であっても朝の超勤であっても、みな残業代は発生する。
 さらに、昨今の労働報酬は抑え気味であって、残業代を稼がないとそもそも生活費を賄えない家庭が多い。そういう家庭を支える労働者としてはなるべく実際に行った残業については残業代を請求したいものである。
 ところで私は、朝8時半始業の会社に勤めているが、実際に出勤するのは6時台であり、いつも朝に2時間程度の超勤をしている。だが、私はまだ若手ということもあり自分の勉強のために早く出勤していて、しかも朝の超勤はつけづらい風潮にある。
 そこで、ノー残業デーの水曜日以外の日に、朝7時から8時半まで1時間半の超勤をつけることにした。これなら残業時間は多すぎず少なすぎず、勤務実態がそれなりに反映され、適正な給与が払われることになる。
 超勤の申告は労務管理上の問題でもあり、そのポストについた労働者がどの程度の業務量を抱えているかを判断する大きな材料となり、管理職がその後の人員配置を考えるうえで重要な資料となる。その意味で、私のとった方針はあながち間違いではなかったのではないか。