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老害とは何か

 どんな組織でも新陳代謝は必要です。ですが、新陳代謝というのは、必ずしも人材を異動させることだけには限りません。古くからその組織にいる人であっても、その時代に応じた考え方に絶えず自分をアップデートできる人ならば、そのアップデートが新陳代謝になります。つまり、考え方や価値観の新陳代謝が重要であって、人材の新陳代謝はサブ的なものだと私は考えています。
 このような時代に応じた価値観のアップデートができない人は老害予備軍です。もちろん、アップデートできないのは仕方ないかもしれません。高齢かもしれないし、それまでの成功体験にしがみついているのかもしれない。アップデートできないだけなら、まあ、昔気質の人だね、で済むのですが、問題はそのようなアップデートできない人が若い世代にまで自分の価値観を無理やり押し付けようとすることです。ここに老害というものが発生します。
 今の時代には今の生き方・考え方・働き方があります。これは社会の流れであり現実の要請なので、それに対応していかなければなりません。よくある失敗例は、老害が「今どきの若い者は…」と言い出す例のくだりです。これは結局老害が現代に全く適応できていないということを示す証拠にすぎません。もちろん、現代に適応できない人は適応しなくていいのです。そういう人たちはそういう人たちで集まればいい。
 現代に適応できない人が現代の流動する価値観に対応しきれずに、硬直した思考で昔の価値観を押し付けること。これは世代間の軋轢を生み出しますし、若い世代に無用のストレスを与えますし、若い世代の健全な発展を阻害します。若い世代は現代の価値観に敏感であり、現代の価値観に沿って社会にうまく適応していきます。そこに昔の価値観を押し付けて、社会とのスムーズな接続を阻害するのはただの害悪にすぎません。組織にとっても害悪です。
 結局老害とは、時代に応じた価値観のアップデートができないうえに、昔の価値観を若い世代に押し付けて、若い世代の業績や社会への適応を阻害する人たち、ということだと思います。そして、老害は決して年齢的に上の世代だけがなるものではないのです。30代の人だって硬直的な価値観を押し付けるようであれば立派に老害です。みなさん、老害にならないように気をつけましょう。