世界的に労働時間が増加していることに警鐘を鳴らした本。
現代社会において、日本だけでなくアメリカやイギリス、ドイツなど世界的に働き過ぎが増えていて、健康障害が生じたり、近所づきあいや政治参加が困難になったり、家事や育児に時間が割けなくなっている。
その背景として、①情報資本主義(パソコンの発達により情報量が増加したり、スマホの発達によりいつでもどこでも連絡が来たりするようになった。)、②消費資本主義(浪費が多くなり、その分長く働く必要が出てきた)、③フリーター資本主義(正規労働と非正規労働で労働時間が二極分化した)など社会的要因が挙げられる。
一方で、働き過ぎを止める動きも始まっている。オランダではパート職員と正規職員の時給を等しくすることで労働時間をかなり削減できた。また、人々も減速生活者(ダウンシフター、スローライフ)などのライフスタイルの変化により、低い年収でも満足した生活を送るようになってきている。
本書は現代の働き過ぎの問題について、その現状と背景、対策について簡潔にまとめている。特に日本はいまだに働き過ぎの状態にあるので、本書にあるように、残業時間の削減や有給休暇の完全取得などを目指し、過労死や健康障害を防ぐべきである。当たり前のことだが、仕事より生活の方が大事である。