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個人と組織との間の信頼関係

 個人と個人との間には信頼関係がある。個人が相手を信頼し、相手が個人を信頼する、そういう正の循環が回っているとき、お互いにとって利益がある関係となる。
 個人と組織との間でも同じように信頼関係を考えることができる。個人が組織を信頼するといった場合、それは自分への適正な人事上の処遇が行われること、問題があったとき組織的に適正に対処してくれること、などを信頼しているのである。逆に、組織が個人を信頼するといった場合、個人が組織に不利益をもたらさないこと、個人が組織に貢献してくれること、などを信頼しているのである。
 個人と組織との間でも、信頼の正の循環が回ることが望ましい。個人が組織を信頼し、組織に貢献し、組織の方でも個人を信頼し、個人を適正に処遇する。そうすることで個人と組織のお互いにとって利益が発生するのである。
 もちろん、個人と組織の間で信頼が破綻することもある。個人が人事上の不利益を被った、個人が問題に巻き込まれたとき組織の対応に問題があった。逆に、個人が組織に不利益を与えた、個人が組織に貢献してくれない。こうなると、今度は個人と組織の間で負の循環が回り始める。個人は組織を信頼しないからそれが行動や態度に出る。組織も個人を信頼しないから適正な処遇をしない。そうなるとお互いにとって不利益があるのみである。
 私は、この個人と組織との間の信頼関係によってブラック企業ホワイト企業を見分けることができると思う。ブラック企業では個人と組織がお互いに信頼できていない。それに対して、ホワイト企業では個人と組織の信頼の循環が回っていて、どんどん成果が上がっていく。
 我々労働者としては、とりあえず組織を信頼することから始めたい。それは人間関係と同じである。人間関係においても、まずは自分から相手を信頼することが良好な関係を築くカギである。同じように、労働者の側でもまずは組織を信頼するのである。それは組織への貢献という形で行動や態度に出る。それに対してホワイトな組織であれば正当な信頼を返してくれるのだ。まずはそこから始めよう。