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信頼と信用の使い分け

 仕事をしていると、人格的な信頼と仕事についての信用は違った次元にあることが分かってくる。仕事をするうえで同僚間、上司・部下間の信頼関係は重要である。これは人格的な意味での信頼であって、信頼があるからこそ互いに便宜を図り合いコミュニケーションを取り合ってよい仕事を達成していくのである。逆に、仕事において人格的な信頼を築けないのは問題があるし、双方の仕事にとってマイナスの影響しか与えない。場合によってはパワハラ、いじめなどの職場トラブルの原因となる。
 だが、いくら信頼のおける間柄だといっても、仕事について信用できるかどうかは別問題である。どんなに信頼の厚い間柄であっても、お互い仕事でミスすることはあり得るし、仕事で知識不足なことはよくあることである。仕事については逆に相手を完全に信用してはいけない。どんなに信頼のおける間柄であっても、仕事については基本的に信用しないで、互いのミスや不備を丁寧にチェックし合う必要がある。
 仕事においてはこの「信頼」と「信用」を上手に使い分ける必要がある。一方で互いに信頼することで良好な人間関係を築き、他方で互いに完全には信用しないことでお互いの不備を補い合う。信頼は主に心情的な側面であり、信用は主に業務的な側面である。この信頼と信用を混同することで様々な問題が生じる。信頼できる相手だからと業務まで信用してしまうとミスを見逃す。信用できない相手だからと信頼関係が築けないとトラブルのもとになる。信頼し、信用しない。これが社会人の鉄則であろう。