大澤真幸が中島岳志、加藤典洋、井上達夫と憲法9条について対談している。
中島は保守主義の立場から9条に自衛隊のことを明記し、自衛隊にできることとできないことを規定すべきと唱える。
加藤は自衛隊を改組し、国連の下で作戦活動を行う国連待機軍と国の防衛を行う国土防衛軍を作るべきだと唱える。また、非核三原則の9条への明記、また核の傘の輻輳化による安全保障を唱える。
井上は9条削除論者であり、そのうえで軍隊を持ち徴兵制を採用すべきとする。
それらを受けて、大澤は絶対平和主義、つまり徹底した非暴力抵抗を唱える。
本書は憲法9条をめぐる議論について、様々な立場の論者の理論を深く追究していくものであり、非常に読みごたえがあった。それぞれの論者の理論の深みもちろんのこと、そこへ切り込んでいく大澤の論理もまた素晴らしかった。巷であいまいに交わされている9条論議に飽き足りない人は、ぜひとも本書を読んでほしい。