「曲がり角を適切に曲がれなかった」日本政治を省みている本。戦後日本の政治経済は冷戦の終焉、バブルの崩壊をきっかけに、1990年代以降急速に時代遅れになった。しかし、制度改革はむしろ人々の政治参加の意欲を減退させ、政権交代は自民党以外の政治勢力への不信だけ残し、変化・改革を模索しながら答えを見いだせないでいる。
日本政治が曲がり角をうまく曲がれなかったのは、曲がり角自体がどんなものかを誰も理解していなかったことによる。本当の課題は日本社会を支えてきた雇用レジームの崩壊に際して新たなレジームを構築することだった。90年代から00年代にかけて日本政治は惰性に従って変革を遂げることができなかった。「成長」神話からの脱却が著しく遅れた。
本書は対談形式で戦後日本政治を振り返っている本であり、予備知識がないとなかなか理解は困難だろうとは思った。いわゆる「政談」というものであり、それでありながら十分理論的である。この手の具体的な政治の流れを論評するものを私はあまり読んでこなかったので大変勉強になった。