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今野晴貴『ブラックバイト』(岩波新書)

 

ブラックバイト――学生が危ない (岩波新書)

ブラックバイト――学生が危ない (岩波新書)

 

  若者に過重な労働を強いるブラックバイトを告発した本。

 ブラックバイトはワンオペの過重労働や長時間労働を学生に強い、学生の学業や進路に悪影響を及ぼす。ブラックバイトの過重な要求のせいで心を病んだり単位を落としたり進路を断念したりするケースが後を絶たない。

 学生は無知で社会的な位置も低いため、安くて従順な労働力として戦力化されやすい。一度ブラックバイトを始めると責任感や脅迫などによって辞めるに辞められないことが多い。コンビニや居酒屋などフランチャイズ化されたサービス業で、バイトは基幹的な戦力となっているからだ。

 ブラックバイトは学生の責任感ややりがいに付け込む悪質なものである。契約違反や不払い残業代、労働法違反について、行政や労基、NPOなどに相談し、労働法に基づいてきちんと戦う必要がある。

 『ブラック企業』に続く『ブラックバイト』。若者を使いつぶし社会的なコストを発生させるこのような人権侵害に対しては、国を挙げて早急に対処しなければならない。必要なのは正しい法的知識であり、正常な権利感覚である。若者にそのような教育を施すのも一つの手ではないだろうか。