社会科学読書ブログ

社会科学関係の書籍を紹介

2008-08-01から1ヶ月間の記事一覧

応報

応報という概念がいまいちよく分からなかった。一般予防や特別予防はよく分かる。なんらかの社会的利益を実現するために特定の制度を作るというのはよくあることで、刑罰制度もそのひとつと考えることができるからだ。 応報刑論というのは、カントに由来する…

故意の内容

故意があるとは、構成要件に該当する客観的事実を認識し(認識的要素)、その内容を実現する意思(意思的要素)をもつことである。だが、構成要件該当事実とはどの範囲まで含むのだろうか。 例えば殺人罪(199)の構成要件は「人を殺」すことだが、人を殺…

行為

黒田亘「行為と規範」(勁草書房)がおもしろい。まずは行為の定義から始まる。行為概念はphysis(自然)を写し取るものではなく、nomos(人間間の約束事)で定まっている。「行為」という言葉は自然に存在する事物を記述するのではなく、その意味は人間が「…

勤労の義務

憲法の義務規定は、具体的な法的義務を定めたものではなく、倫理的指針、あるいは立法による義務の具体化の予告程度の意味しかないとされる。27条1項の勤労の義務もまた、法的義務ではない。 ところで、野中他「憲法I」では、生活扶助などを受けるために勤労…

規範と責任

法規範は何らかの利益を実現するために規定されている。だから、法規範に違反するということは、その規範が保護する利益を害するということだ。規範の名宛人は、私人だったり国家だったり裁判所だったり検察官だったり被告人だったりする。 例えば刑法199条…

少年院

少年院のビデオを見た。少年の抱える問題を少しでも改善し、社会復帰を目指すため、職員が熱心に取り組んでいる。驚いたのは、職員と少年との間の強い信頼関係だ。実際はどうだか知らないが、あれだけ信頼できて心の奥までさらけ出せるような大人が近くにい…

形成判決

日常生活では、要件事実の存否について特に争いなく物事が運んでいく。売買契約の成立があったら、その成立を適式に証明することなく、代金や引渡しを請求する。だが、裁判においては、要件事実の存在を証明し、請求権の存在を確認し、給付判決を下す。厳格…

一区切り

一応論文を書き終えて、教官に送った。まずいところをたくさん指摘されそうで怖い。 今年はしばしば「余震」を感じる。余震といっても実際に地面が揺れているのではなく、夏バテでふらつくことであたかも地面が揺れているかのように感じるのである。歳だなあ…

進行状況

今日はこれまでのところに加筆修正をし、3.2.まで終わらせた。あと少しだ。文量的には既に10000字(25枚)だから充分なのだが、まだ書くべきことはある。どこまで細かく書いたらよいのかよく分からないし、どこに力点を置いて論じたらよいのかも…

進行状況

今日は3.1.の途中まで書いた。全体の約6割書いたことになる。 それにしても暑いが、クーラーなしの部屋で普通に書いている。去年は暑さに耐えかねず自習室に結構行ったものだが、今年はそこまでの不便は感じない。夏休みになってから一度も自習室を使っ…

目次

論文の目次。ーーーーー 1.序論2.心理的因果性 2.1.条件関係公式と法則 2.2.心理的因果性の特殊性 2.3.心理的因果性の判断方法3.詐欺罪における動機の競合 3.1.実行行為者の関与の態様 3.2.動機の競合の類型 3.3.動機の競合の…

書き始める

資料を一通り読んだのでこれから書き始める。構成を頭の中で考えながら、ついつい試験の答案のような論述になってしまい、あせる。試験の答案と通常の論文は区別しなければならない。通常の論文は、点を稼ぐためではなく、真実を述べるために書くのだから。

深める

論文を書くために、因果関係についての論文をこれまでに4本読み、さらにいまは林陽一「刑法における因果関係理論」(成文堂)と林幹人の心理的因果性についての論文を読んでいる。因果関係についての知識は不必要なほど増えているわけだが、これがまた面白…

債務

債務とは何かと考えたときに、ただ漠然と「何かをする義務」と考えていると他の義務との区別がつかなくなってしまう。思うに、債務とは民法の体系の全体の中で、民法の条文や諸概念との関係の中に位置づけられる機能的概念である。 とりわけ、債務と債務不履…

あと少し

これから昼寝をして、午後と明日の午前で特許法の復習をして、明日の午後特許法と国際法の試験を受ければ試験終了です。あと少しです。がんばろう。

あとになって

テストが終わってしばらく経ったあとに、そういえばこの論点書き忘れてた、と気付くことがよくある。今回は3科目についてそういうことがあった。少しへこむのだが、なんとか単位だけは下さいと神様仏様に祈るほかはない。