社会科学読書ブログ

社会科学関係の書籍を紹介

2009-10-01から1ヶ月間の記事一覧

わかること

受けなかったのは一つの挫折だと思っているのだが、その挫折感をいつまでも引きずっているのは良くない。民法・民訴・会社法、つまり民事法が全然分かっていないと思ったから受けなかった。大学院が終わって、基本書を読んで問題集をといて、やっと会社法と…

立法事実

違憲審査においてなぜ立法事実が出てくるのか分からなかった。違憲審査とは憲法と法律との何かしら論理的な関係を審査するのかなあと漠然と思っていた。だがそれは違う。 法律による人権制限は、公共の福祉による人権制限である。公共の福祉が人権に優越する…

原則と例外

原則と例外に本質的な区別はないのではないだろうか。「人を殺した者は罰する」を原則、「ただし違法性がなければ罰しない」を例外とすると、ここで言われている法命題は、「人を殺した者で違法性がある者を罰する」という単一の命題でしかないのではないか…

倫理的な懐疑

僕は最近、あらゆる価値を疑う状態になりました。快楽や成功や達成や栄光、すべて疑わしい。そうすると、生きていることが無意味に思えました。生きていることに価値がないのなら、生きていてもしょうがない。自殺という言葉も頭をよぎりました。 ですが、そ…

休息の自由

今日は雨も降ってるし、勉強にも疲れたので寝ていました。 ところでなんで憲法には「休息の自由」がないのでしょう。消極的権利として休息に対する国家からの介入を予防するものとして、また、積極的権利として休息を可能とする制度の実現を国家に要求するも…

「選任」

人間と機械との違いが、この「選任」という言葉に現われている気がする。任命権者がある人を「選任」する場合、その人の個性や能力に着目してその人を「選び」、その人の裁量に機関としての役割を「任せ」ている。つまり、人間は機械と異なって個性があるか…

人権確認の訴え

憲法というものはろくに仕事をしていないように思える。法律というものが、事実をもとに効果を発生させるという仕事をせっせとこなしているのに、憲法はたまにその法律が自分に適合しているか適合していないか裁判所に判断させているだけに思える。つまり、…

「ブラックジャック」のすごさ

手塚治虫の「ブラックジャック」の主人公であるブラックジャックは、医術によって人を治すことをほとんど絶対的な価値として信じています。彼は神業でもって、普通の医者には治せないような病を手術によって次々と治していきます。そのヒロイズムだけを描い…

再開

短かった休暇も終わり、今日から勉強を再開しました。今のところ好調ですが、また不調になったらずるずる引きずらずに上手に休もうと思います。 昨日は高校時代の恩師の家に遊びに行ってきました。高校の同級生が、今T大の法学部の助教をやっていて、今年助…

neet

ニートって定義上は確か、教育も職業訓練も受けていず、働いてもいない人だったはず。でもそれは形式的な定義であって、実質的には、社会的に公認された目的意識や義務感を抱いてないということのような気がする。その実質的な意味で、私は今ニートだと言え…

自己に対する義務

法律は他人に対する義務は規定するが自己に対する義務は規定しない。つまり、「他人の利益になるように自分の行動を規制しなさい」とは命ずるが、「自分の利益になるように自分の行動を規制しなさい」とは命じない。「社会に悪影響を与えないように賭博はす…

幸せ

今日は何となく幸せです。いい映画を見たし、好きな本を読んで、いい音楽を聴いて。何よりも拘束から逃れられて。Bonjour, bonheur.(幸せよ、こんにちは。)幸せはこんなに身近にあった。何年も探し求めていたのに。ただ義務を忘れるだけでよかったんだ。つ…

休暇

調子が悪いのが続くので、「ひょっとしたら鬱じゃないかしら?」と思って医者に行ってきました。自分の状態を説明すると、「それは単なる疲労です。少し休むのをお勧めします。休むのに飽きたらまた勉強を始めるといい。休むのがつらくなければそれでいい。…

スカッと

昨日友達と勉強会をして、ロー民訴を終わらせた。最近調子が悪いと言ったら、「思い切って一週間くらいスカッと休んだ方がいいよ」と言われた。確かにそうかもしれない。調子が悪いと言いつつも、ひそかに勉強は進めている。それがよくないのかな。一週間く…

受益・負担の意思表示

第三者のための契約において、第三者の権利の発生の時点は、受益の意思表示の時点だとされる(537条2項)。「受益の意思表示」というのは、何か特別なことをしているようにも思える。普通の二当事者間の契約には存在しない要素であるかのように見える。…

存在しない人に対する義務

刑法が国民に課する「他人に危害を加えてはならない」という義務は、国民の国に対する義務である。国民がこの義務に違反したとき、国家に対する義務違反だとみなされ、それに対する制裁が基礎づけられる。国家が制裁権を有する以上、「他人に危害を加えては…

国は何をやっているのか

国家は一体何をしているのか。おそらく、(1)事務処理、(2)意思形成、(3)意思表示、これらの連鎖をしているのである。それぞれのものについて、それを司る機関の自由にゆだねられているか、それとも自由が制限されているか、の区別ができる。そして…

ささえ

昨日はいろいろあったせいでどうも眠れないので日記を書く。自分がどうしようもなく落ち込んでいて、神なんて信じてもいないのに、「神よ、私はこんなに努力して、人を許し、人を愛し、どんなつらい時でも一人で耐えてきたのに、それでももっと苦しめという…

温度差

law schoolの対策をしていたころ、law school生のブログを眺めてはうらやましく感じていた。今では修習生や合格者のブログを眺めてはうらやましく感じている。 law schoolに受かった時はうれしかったが、しばらく経つとそれが当たり前になって、そのことにつ…

存在しない制度

現行制度では、立法府は国民によって選ばれ、司法府は国民以外によって選ばれ、行政府は主に立法府からさらに選ばれる。つまり、(1)国民によって選ばれる、(2)国民以外によって選ばれる、(3)選ばれた中からさらに選ばれる、という組織のされ方をさ…

加藤尚武『現代倫理学入門』

現代倫理学入門 (講談社学術文庫)作者: 加藤尚武出版社/メーカー: 講談社発売日: 1997/02/07メディア: 文庫購入: 5人 クリック: 41回この商品を含むブログ (62件) を見る 我々が当たり前だと思っていて特に意識的に定式化していない判断原理を、ひとつひとつ…

常に成長していないと負けた気がするんです。常に生産していないと負けた気がするんです。インプットとアウトプットはともに成長と生産を確証するもので、ブログを書くのもその確証の作業の一環です。最近その成長主義・生産主義に疲れたのかもしれません。…

言い訳

私がここで書いている論点は、本来ならば大量の資料を集めて読んだ上で丁寧に論述しなければならない論点である。それをこの程度で済ませていることには、それなりの許容性と必要性がある。 まず許容性。所詮ブログに過ぎないこと。読む人も質を期待していな…

可能性と存在

たとえば私が人を殺した可能性が高ければ、私は処罰されなければならないのだろうか。私が人を殺したのならば、私は処罰されなければならない。だが、単に「殺した可能性が高い」というだけで「殺した」ものとして処罰されることは適当だろうか。 存在した可…

適応

今日、稲刈りの手伝いをしていて、「農作業には法律は全く関係ないなあ」とのんきなことを考えていたのですが、実はそうでもないのではないかと気づきました。 稲刈りをする場合、米を収穫するという目的の実現のため、稲の生え具合に合わせて機械を走らせま…