社会科学読書ブログ

社会科学関係の書籍を紹介

2009-06-01から1ヶ月間の記事一覧

利益を与えないこと

利益を与えないということは、不利益を与えるということになるのだろうか。それとも単に何もしないということになるのだろうか。(1)利益を望んでいる主体が利益を得る可能性がない場合 例えば、健常者が障害者年金を望んでいる場合。健常者である以上、障…

故意と悪意

故意も悪意も、ともに特定の事実の認識であるという意味では同じである。だが、故意と悪意には様々な違いがある。 まず、(1)故意によって認識される事実は、認識主体の行う事実であるが、悪意によって認識される事実は、取引の相手方などの状態についての…

進捗状況

前田庸『会社法入門』をもうすぐで読了します。長い道のりでした。この本を読んで、自分がいかに会社法がわかっていなかったか痛感しました。やっぱり基本書は読まないとダメですね。 学部のゼミにはもう行かないことにしました。僕は、自分の今の時期を「休…

行為と情報

行為をするためには情報を得なければならない。情報は、(1)物事の存在、(2)物事の内容、から構成されるが、これらは不可分であろう。 さて、法システムの様々な場面で、(1)情報提供行為、(2)情報に基づいた行為、がなされるわけだが、それぞれに…

まだ続いている

試験を受けた多くの人が、やる気を失ったとか、やる気が出ない、とぼやいている。だが、私の場合は試験を受けていないので、まだ試験勉強が続いている感じなのだ。とにかく基本書読みと択一解きを一周するまでは気が抜けない。それさえ終われば、あとは判例…

故意と違法性の意識

(1)故意と違法性の意識の関係と、(2)故意だけで処罰できるかそれとも違法性の意識がないと処罰できないか、とは多少関係がある。故意と違法性の意識を無関係だと考える立場と、故意によって違法性の意識が擬制されるとする立場がある。故意と違法性の…

山口厚『危険犯の研究』

危険犯の研究 (1982年)作者: 山口厚出版社/メーカー: 東京大学出版会発売日: 1982/09メディア: ? クリック: 4回この商品を含むブログ (2件) を見る まず、危険判断の方法を定式化しているところが注目すべき点だ。(1)判断の基礎、すなわちいかなる事実を…

「訴えの利益」は誰の利益か

一言に訴えの利益というが、それはいったい誰の利益だろうか。「訴えの利益がない」というとき、そこでは誰にとって利益がないといわれているのか。訴訟に関する主体には、原告・被告・裁判所・納税者・社会などがあるが、誰の利益が問題になっているのか。 …

権利保護の資格

訴えの利益は、(A)権利保護の資格、(B)権利保護の利益、から構成されているが、権利保護の資格はさらに(1)訴訟物が具体的権利関係・法律関係であること(権利性)、(2)訴訟物についての攻撃防御方法に法が適用できること(法律性)、から構成され…

カリキュラム

今回の試験では、我々の学校は余りよい成績を上げられていないわけだが、その原因はカリキュラムの組み方にあったのではないだろうか。えるさんの前期までで必要な単位は取れるようにして、後期は試験勉強に集中できるようなカリキュラムを組めば、もっと成…

上からの基礎付け

西洋哲学の伝統として、確実な真理を基礎として、そこから演繹的に学問の体系を基礎付けていく、という方法論がある。これを下からの基礎付けと呼ぼう。ユークリッド幾何学がその典型で、いくつかの公理を前提に、論理的に諸定理を導き出していくのである。 …

発見

中山研一先生のブログを発見。 http://knakayam.exblog.jp/ 82歳というご高齢ながらも頭脳の衰えを感じさせない。 頭のいい人はどんどんブログとか書いていくといいと思うよ。

会社の行為の内容

例えば会社が募集株式を発行する場合、199条1項各号に掲げられた事項(募集株式の数など)、すなわち募集株式発行の内容を会社は定めなければならない。だが、内容の定まらない募集株式の発行などそもそも不可能ではないか。なぜ、会社法はいちいち会社…

自由意思の有無による手続の分類

私的な紛争処理、調停、仲裁、裁判の分類を、当事者の自由意思の観点から試みてみる。当事者に自由意思があるかどうかは、(1)紛争解決手続きを始めるか、(2)解決の内容をどうするか、(3)解決の内容に同意するか、という3つのレベルで問題になる。…

判例

ゼミに出ていて分かったのは、私は理論的思考ばかりが得意で、具体的で複雑な現実の事案の法的把握にはそれほど慣れていない、ということだ。具体的な事案をよく読みこんで、重要な事実は何か、それをどう法的に評価するか、そのような頭の訓練をもっとしっ…

最近軽く情緒不安定だ。しばしば感傷的になったりする。やっぱり浪人って楽じゃないよ。「無職」という肩書きもつらい。宙に一人浮いてる感じ。どこかに支えを求めるんだけれど、手は空を切るだけ。もっと休まないといけないのかな。楽しいことをたくさんし…

窃盗罪は危険犯?

択一を解いていると、窃盗罪がどの段階で既遂になるかの判断が求められる。だが、占有が移転したという法益侵害の発生は、例えば人が死んだという法益侵害の発生ほど客観的に判断できるものではない。裁判例によると、留守中に財物を運び出す準備をした時点…