社会科学読書ブログ

社会科学関係の書籍を紹介

2024-12-01から1ヶ月間の記事一覧

藤高和輝『バトラー入門』(ちくま新書)

バトラー入門 (ちくま新書) 作者:藤高和輝 筑摩書房 Amazon クイア理論の基礎付けとみなされるようになったジュディス・バトラーの入門書。バトラーは、セックスとジェンダーと欲望の連続性、つまり、女性だったら女性らしく振舞い、男性を愛するようになる…

平芳裕子『東大ファッション論集中講義』(ちくまプリマー新書)

東大ファッション論集中講義 (ちくまプリマー新書) 作者:平芳裕子 筑摩書房 Amazon ファッション論についてのイントロダクション。近年活発になってきたファッションスタディーズ。その入門となる本書は、そもそも衣服とは何かという哲学的問題に始まり、衣…

将基面貴巳『反逆罪』(岩波新書)

反逆罪 近代国家成立の裏面史 (岩波新書) 作者:将基面 貴巳 岩波書店 Amazon 反逆罪の歴史を辿ることで近代国家成立の通常とは異なる側面を明らかにする本。支配権力にとって、その基盤を揺るがしかねない政治的危機を抑圧する必要があったため、近代国家が…

冨原眞弓『シモーヌ・ヴェイユ』(岩波現代文庫)

シモーヌ・ヴェイユ (岩波現代文庫) 作者:冨原 眞弓 岩波書店 Amazon シモーヌ・ヴェイユ研究の決定版。ヴェイユは、前半生においては、自分自身の思考にしか信を置かないデカルトと同様の立場をとり、知的冒険の旅に出た。だが、工場と戦場の経験は、人間の…

アシル・ムベンベ『黒人理性批判』(講談社選書メチエ)

黒人理性批判 (講談社選書メチエ) 作者:アシル・ムベンベ 講談社 Amazon 黒人とはなんであるかについての哲学的考察。世界は「黒人」になろうとしている。かつて西洋近代が標榜した理性、自由、自我、平等、人権のような価値は、その裏側ではひどい暴力、犠…