社会科学読書ブログ

社会科学関係の書籍を紹介

コラム

私の図書館利用法

私は読書が趣味で、日々教養を深めるため読書をしているわけだが、そこで欠かせないのが図書館の存在である。私は読んでいる本の半分くらいを図書館から借りている。図書館は無償で本を借りることができ、娯楽代の節約に資する存在である。 私は学術系の本は…

正義の隠蔽作用

SNS上でよくみられる炎上現象を見ると、失言などを攻撃している人たちは大方自分を正義の側の人間とみなし、失言などをした人の欠点を突いているのである。一般的に言って正義に従って行動しているということは人々に安心をもたらす。正義に従っていれば自分…

友人の死から考えたこと

今年の4月、私の親友が死んだ。自殺なのか病気なのか詳しくは知らない。だが、彼の一生は不幸だったと私は思う。 大学生のとき、彼は恋人と楽しく学生生活を満喫していた。だが、理系の大学院に入って、そこでの過重負担のストレスで酒に逃げアルコール依存…

現場とは何か

よく「現場主義」という言葉が使われる。現場の状況を把握しておかなければ重要な意思決定はできないということである。では現場とは何であろうか。それは、物事が実際に起こっていて、その物事の詳細な情報が実感として手に入る場所である。何かサービスを…

なぜ本を読むのか

読書をする理由は多岐にわたる。まず筆頭に挙げられるのが読書の快楽である。本は知的遊戯の空間であり、本を読むことは知的遊戯の快楽に身を浸すことに他ならない。そこには思想があり感性があり認識があり物語があり、どれも人の脳髄に快楽をもたらすもの…

私の働き方改革

最近、働き方改革の機運が高まっている。世相の流れもそうだが、私も個人的な理由から働き方改革を心掛けてきた。 過去を振り返るが、私が入社して2年目についたポストは超激務だった。毎朝始発で出勤して終電で帰り、土日出勤しても仕事が終わらず、仕事が…

能動性格差

現代は多様性の時代だといわれる。多様性は社会福祉の観点と個人の人権の観点から説明できる。旧来の同質的な社会においては、同質でない人々を排除するという暴力が働いていた。そのような社会的排除を受ける人を少なくするという福祉の観点から、多様な人…

政治と文学

政治と文学については多くの議論がなされてきた。有名なものでは第二次世界大戦後に交わされた「政治と文学論争」があり、文学の政治への機械的従属VS文学の政治からの自立・作家の主体性獲得、という論争がなされた。私としては政治と文学のどちらかがどち…

私の教養主義

私にとっての教養主義とは、基本的には読書や学問を通じて人格形成を行うことである。だが、もちろん人格形成のためには人間関係や就業も重要である。だから広い意味で教養主義を捉えると、読書や学問のみならず広く社会的関係において自らの人格形成を行う…

信頼と信用の使い分け

仕事をしていると、人格的な信頼と仕事についての信用は違った次元にあることが分かってくる。仕事をするうえで同僚間、上司・部下間の信頼関係は重要である。これは人格的な意味での信頼であって、信頼があるからこそ互いに便宜を図り合いコミュニケーショ…

互有

夫婦関係は互いに互いを所有し合う関係、つまり「互有」関係だと思う。基本的に、自己は自己のみを所有し、自己を他人から所有されることを拒絶し、自己が他人を所有することを慎む。ところが、恋愛関係や夫婦関係においてはこの原則が崩れるのである。 夫婦…

復興の現場で

私は平成28年度から3年間、福島県の相双地方で主に復興工事にかかわる仕事をした。この度の人事異動で、同じ相双地方ではあるが現場とは離れた仕事となるので、少し今までの3年間の現場での仕事について思うことをまとめておきたい。 1 復興はまだまだ…

ユーモアについて

エッセイをたくさん読んでいると、ユーモアにもさまざまな種類があるということが分かってくる。ここではユーモアを防衛機制的ユーモア、創作的ユーモア、潜在的ユーモアに分類し、それぞれ解説していこう。 防衛機制的ユーモアは、人生の悲惨さを面白おかし…

妻帯するということ

私は最近結婚したのだが、妻帯するということはかなり人生の効率を上げるように思う。 まず、結婚に至るまでに相手と親密な関係にならなければいけないが、そこでは高度なコミュニケーションスキルが要求される。初めからコミュニケーションスキルを持ってい…

個人と組織との間の信頼関係

個人と個人との間には信頼関係がある。個人が相手を信頼し、相手が個人を信頼する、そういう正の循環が回っているとき、お互いにとって利益がある関係となる。 個人と組織との間でも同じように信頼関係を考えることができる。個人が組織を信頼するといった場…

夢を見ていた

今の会社組織に入ってもう5年になる。私は大学院で法律を修めたコンプライアンス世代であり、現実社会に出てみると法的にアウトなことが割と普通に行われていることを知った。暴行や脅迫、名誉毀損、ハラスメント、そういった行為が現実社会では割とカジュ…

人間関係の改善のために

人間は長い人生の間、人間関係が悪化することがままある。だがその際に一番やってはいけないことは、「こいつが悪い」「あいつが悪い」という犯人捜しである。誰かを犯人に仕立て上げれば問題は解決するどころか一層悪化する。人間関係が悪化するとき、多く…

擬似宗教のススメ

宗教というものは超越的な人格者に対する信仰を核とするものである。典型的には神に対して信仰心を抱くという形態をとる。だが、無宗教であっても、人間は超越的なものへとまなざすことができるのではないだろうか。 日々の雑事に追われていると、世界が神秘…

仕事が好きな人と嫌いな人の違い

なぜ世の中には仕事が好きな人と嫌いな人がいるのでしょうか。仕事が好きな人の労働は喜びに満ちています。それに対して仕事が嫌いな人は労働についてネガティブな感情を抱いています。仕事が嫌いな人は他人に厳しく、残業しない人やあまり仕事ができない人…

田舎で暮らす理由

私は地方都市に住んでいる。地方都市に職を得て、そこで働いている。ではなぜ大都市圏ではなく地方で働いているのか。それには様々な理由がある。 まず、実家が近いということ。家族との接触の機会が増えるし、実家は落ち着くし、何かと便利である。実家は農…

仕事と恋愛

仕事と恋愛は似たような構造をしています。特に結婚を前提とした恋愛の場合、相手と少しずつ距離を詰め、付き合いの段階を少しずつ上げていき、遂には婚約にたどり着き、さらに結婚という具合で、目標に向けて地道に努力するという力が試されます。デートコ…

用地職員を2年半やって分かったこと

私は今用地職員3年目であり、おそらく今後は用地職員をやらないであろうと思う。だが、用地職員の経験は貴重なものであり、私はそこから多くのものを得ることができた。もちろん、用地職員は二度とやらないつもりではあるが。 1 用地職員とは 公共的な事業…

老害とは何か

どんな組織でも新陳代謝は必要です。ですが、新陳代謝というのは、必ずしも人材を異動させることだけには限りません。古くからその組織にいる人であっても、その時代に応じた考え方に絶えず自分をアップデートできる人ならば、そのアップデートが新陳代謝に…

黒人やユダヤ人について学ぶ理由

私は最近、黒人やユダヤ人に関する書物を多く読んでいる。黒人もユダヤ人も、ともに世界史において迫害を受けた人種である。彼らには彼らの受難があり、迫害と闘い、地位を向上させてきた歴史がある。彼らの受難がどういう構造を持ち、そして彼らの戦いがど…

ゆう活取得による業務の効率化

私はこの夏ゆう活(朝型勤務、残業なし)を取得することで、残業の圧縮と業務の効率化を図れたと思う。その理由として2点あげることができる。 まずは、朝の静かな時間に集中して孤独な仕事を行えたこと。仕事には孤独な仕事と同僚とともにやる仕事があると…

新世代の若者たち

私は曲がりなりにも所属組織では若手のつもりでいたし、若手職員の世代を幾分代表しているような気持にもなっていた。だが、最近の新入社員を見ていると、私などもはや若手ではないということに気付く。最近の新入社員は私などよりもっとドラスティックに現…

職場のマウンティング合戦をどう回避するか

草食系のおとなしい人ばかりの職場なら問題はありません。ところが、それなりに給料の高い職場だと、バリバリに野心を抱いている人が結構いたりします。そういう人に多いのがマウンティング傾向です。とにかく他人に負けたくない。何とかして他人よりも上に…

仕事と読書

社会人で読書の習慣を持っている人は意外と少ない。たまに読書が趣味だという人がいても、読んでいる本は小説かビジネス書である。確かに小説は娯楽になるし、ビジネス書は実践的かもしれない。だが私はそれ以外の読書をぜひとも推奨したい。それは例えば、…

ダイバーシティと危害原則

ダイバーシティと危害原則は矛盾しないだろうか。多様な個性の存在を認め、不均質な集団から積極的な価値を作り出していくという多様性の主張は、場合によっては他人に危害を加える人間の個性のことも容認することになりはしないか。 例えば、ある集落に意地…

組織を下から少しずつ変える

働いている人ならだれでも経験はあるだろう、誰かが定時に帰ってくれたおかげで自分も躊躇少なく早く帰ることができた、という経験。日本の職場は様々な旧来の慣行によって強く縛られている。その慣行を良い方向に仕向けてくれる人が一人でもいると、他の人…