社会科学読書ブログ

社会科学関係の書籍を紹介

回り道

 私と同い年で、大学時代同じ専攻だった人が、研究者としてそれなりに成功していることを知った。去年共著で脳神経倫理学の本を出したみたいだ。どこかの大学で講義もしているようだ。そのような成功例を見てしまうと、果たして自分のとった進路は正解だったかどうか疑わしくなってくる。私もそのまま科学哲学専攻で大学院に進学していれば、今頃成功していたかもしれない。

 大学時代、私は精神状態があまりよくなく、勉強が手につかないことも多かったため、知識が足りず、指導教官も私のことをそれほど評価していなかった感じだった。だから、4年の夏の時点では、指導教官は私に研究者の道を思いとどまるように暗に働きかけてきた。指導教官が私のことを評価してくれたのは、私が卒論を書いた後だった。卒論発表会のあと、わざわざ私のところに来てくれて、「よかったよ」と一言言ってくれた。その頃は私も精神状態が回復していて、充実した論文が書けた実感があった。

 それで私は就職するべく公務員試験の勉強を始め、その延長上でlaw schoolを出て国家試験を受けようとしている。さらに博士課程進学も視野に入れている。今の指導教官は私のことをそれなりに評価してくれていて、「君は優秀だと思いますよ」とか「研究者に向いてると思いますよ」などと言われたことがある。

 ずいぶん回り道をしてしまったが、結局は今ある知識をもとに、自分の才能を信じて、法律の勉強を進めていくのが一番だと思う。法律学は哲学とも当然接続するから、哲学の研究もできないわけではないし、むしろ法律学者は哲学を知らなければならないと思う。とにかく現在の自分を肯定して、現在の自分の持っているものを基準に一番良い進路を考えるべきだ。そうすると、法律学者になるのが一番良いのかもしれない。