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マネジメントサイクル

 plan→do→see→plan→do→seeを繰り返すのがマネジメントサイクルだ。このサイクルは主に行政法で問題にされている。つまり、行政機関が計画を立て、それを実行し、その結果を事後的に評価し、次の計画に生かしていく。

 だが、このサイクルはおよそ人間の行動を説明することができる。例えば民法だったら、契約を計画し、実際に契約を結び契約を履行し、その契約が価値あるものだったかを事後的に判断して次の計画に生かす。刑法だったら、犯罪を計画し、犯罪を実行し、それに対する刑罰が与えられることで犯罪者は反省し、もう犯罪の計画は立てないようにしようと思う。

 もちろん、計画のない衝動的な行為もあるし、計画だけで行動がないときもあるし、事後的な評価がないときもある。刑法の特殊性は、このマネジメントサイクルにおいて、外部化された行動(do)に制裁を与えることで、事後的な反省(see)が十分に機能するように犯罪者を導いていることだ。

 人間の行動の結果は必ずしも法的なものとは限らない。告白して振られる、そこに法的なものは介在していない。だが、行動に対して法的な結果を作り上げ、その法的な結果により事後的な反省を強制する、そこに、刑法の介在するマネジメントサイクルの特殊性がある。