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 しかし、これだけ恥をさらしながらブログを更新し続けるなんて我ながら大した根性だ。一回受けずに、次の試験では過去問すらやらないという大ボケをかましながらたくいつで落ち、それにもかかわらず内心をさらし続けるなんて、通常の羞恥心の持ち主ならできないことだろう。でもいいんですよ。ローに入ったぐらいの段階で、すでに私のプライドなんてなくなってますから。法律については劣等生だということは嫌と言うほど分かってますから。

 私の失敗は、私の経歴と私の適性によると思う。まず、たいした法的能力もないのに既修で入ってしまい、大学院時代を有効に使えなかったこと。だから一年受けられなかったわけだ。一年間浪人してL1の分をやったわけです。もうひとつは、試験勉強よりもむしろ研究に向いていて、研究の方に興味があるがゆえに、試験勉強を軽視してしまったこと。だからたくいつについては過去問すらやらないというどうしようもない愚挙に出たわけだ。

 たくいつをやり始めて、この勉強は法律の理解にとってすごく重要だと気付いた。一つの肢の正誤を決めるために、いろんな法理によって推論しなければならない。理由づけながら正誤を決定するという作業には、驚くほど広範な領域の知識が関わっていたりする。例えば、「虚偽表示をした一方当事者の相続人が、虚偽表示の無効を主張できるか」という問題。これについては、まず相続について、一身専属権が相続されないことを知っていなければならない。そのうえで、無効主張は行使上の一身専属権にあたるかを考える必要がある。ところが、一身専属性というものはとても曖昧な概念であり、それを理解するのは難しい。ところで、無効主張というのは契約上の地位に基づくものであるが、契約上の地位の移転という制度が認められている以上、それは承継可能であり、当然包括承継である相続においても承継されるということになる。無効主張は確かに相対的で本人しか行使できないと言われていて、その意味で一身専属的であるが、契約上の地位の移転の許容性と比較することで、相続可能性を導くことができる。