社会科学読書ブログ

社会科学関係の書籍を紹介

失う

 気付いたが、私は何かを得るというよりはむしろ何かを失うために生きているのではないか。例えば忘却というもの。現在がこのままの強度で蓄積されていったらとても人間は耐えられない。現在が過去になることによって人間は何とか生きていけるのだ。だから、苦労や苦痛や疲労などを忘却する、失う、そのことが生きていることの目的になりうる。

 とにかく、現在というものはそんなに楽じゃない。楽しい時間は限られているし、苦しい時間も多い。そういう現在を速やかに失っていく、そのために生き続けているのである。たぶん私は現在というものにそんなに耐えられない。だから早く時間が過ぎ去っていくことを望む。現在が失われ過去となることを望む。

 あとは若さに伴うネガティブな属性を早く失いたい。不安定さとか、怒りっぽさとか。あと、現在の浪人という地位も早く失いたい。獲得するためではなく喪失するために生きている。