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情報罪

 犯罪と言うと、有形的暴力によって法益侵害が引き起こされるケースが良く想起されるが、無形的情報によっても法益侵害は引き起こされる。情報を利用した犯罪というものがあるのだ。これは特に刑法典に体系づけられているわけではないか、情報を操作することにより、その情報の受け手の判断を左右し、その情報の受け手を介した法益侵害を引き起こすという意味で共通している。

 まず、(1)被害者に情報を提供することで成立する犯罪。詐欺罪、または相手を錯誤に陥らせ自殺させる殺人罪。被害者に誤った情報を提供することで、被害者の不利になるような被害者の行動を導く。

(2)社会に情報を提供することで成立する犯罪。信用棄損罪、名誉棄損罪、侮辱罪。社会が被害者の情報を得ることで、被害者に対して不利な態度をとるようになる。

(3)正犯者に情報を提供することで成立する犯罪。教唆・幇助において、情報を与える場合。その情報に基づいて正犯者による法益侵害が行われる。

(4)電子計算機に情報を提供することで成立する犯罪。電子計算機利用詐欺罪、不正アクセス罪。電子計算機に情報を提供することで、電子計算機の処理を通じて法益侵害をする。