社会科学読書ブログ

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法律家

 法律を勉強するようになって、自分の性向はある程度変わったと思う。

(1)意思をしっかり主張するようになった

 私法体系は、意思表示を基礎としている。意思を表示しないと自分が欲するような法的効果が発生しないわけで、自己実現にはまず意思表示が必要となる。その意味で、言うべきことはちゃんと言わないと相手は分かってくれないし、相手が自分の期待した通りには動いてくれない、そういう発想が強くなった。

(2)戦略的になった

 訴訟においては、自己の権利を実現するため、あるいは自己を防御するために、適切な論点について適切に主張・応答しなければならない。その際、戦略的に、何が論点であるか、何を主張すれば最も効率的か、そういう考え方をするようになった。その意味で、実生活においても、目標の達成のために戦略を練るということを考えるようになってきた。

(3)正義感が強くなった

 裁判例の事実関係などを読んで憤りを感じることが多かったり、こんなに人権侵害が実際に起きているんだということに目を開かれたりし、一方で、それを救済するための道具としての法の有効性に気づかされた。法・正義を介しての幸福の実現というものに強く興味を持つようになった。だが、法律家がここで陥りがちな陥穽というものは、既存の正義を疑わず、ただ既存の正義感にのっとって突っ走ってしまうこと。法律家は正義感情が強いあまり、逆に不公正な方向に突っ走ってしまうことがしばしばある。私は学問よりだから、その辺の公平感は持っているつもり。