社会科学読書ブログ

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 かつて、猫の一匹くらい殺さなければ不良とは言えない、と思い、真剣に猫を殺そうと思っていたことがある。心の99%が憎しみでできていた頃だ。残りの1%はなんだったっけな。思い出せない。吉田戦車の漫画に、変な大人が、中学生に対して、中学生なら煙草を吸えとか猫を殺せとか言っている、そういう漫画があった。あと、三島由紀夫の『午後の曳航』ではまさに中学生が猫を殺していた。

 今となってはそんな気持ちはうせてしまった。恐ろしいことに、憎しみなど時とともに薄れてしまうのだ。今、最悪の気分を抱いていても、何かを憎む気にはなれない。だから猫を殺そうとも思わない。