社会科学読書ブログ

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 すべて投げ出して、遠くへ逃げて隠遁したいと思っていた頃があった。そういう時に限って、友人たちは背中を見せるもの。誰一人あてにならなかった。大学へ行かず、ビデオを沢山借りてきて、アパートで意味もなく見続けていた。私は結局大学一年のときに留年した。留年すると決めたとき、何か、すべてから解放されたかのような脱力感と安堵に襲われた。私はそして心を病んで外へ出られなくなって、実家に帰り、意味もなく半年ほど過ごした。東京に戻って、大学の講義を受けられたとき、私は涙が止まらなかった。やっと戻ってこられたのだ、と。私にとって講義を受けられるということはとても貴重なことになった。実家に帰っていた頃、両親とどこかへ出かけたのだが、そのとき車のラジオで不登校の話題が出た。私は聴くに堪えなくて、父親にラジオを切るように言った。父は無言でラジオを切った。父もまた私の気持ちを察していたのだろう。その後私は大学に戻り、色んな人間と火花を散らしながら、歯を食いしばりながら、最悪の精神状態で、それでも優秀な成績で卒業した。私は大学をやめたくて仕方が無かったが、結局辞めなくてよかったと思っている。