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中嶋嶺雄『国際関係論』(中公新書)

国際関係論―同時代史への羅針盤 (中公新書)

国際関係論―同時代史への羅針盤 (中公新書)

 国際関係論の理論についてはそれほど詳しく書かれていない。国際関係が政治経済的接触であるのと同様に、文化的接触でもあることを強調しているくらいか。あとは、国際関係論がマルチディシプリナリーであることの説明。あと、国際関係について学ぶ場合には、地域研究が併存しなければならないことの説明。

 後半は、国際関係史といった趣。戦後の冷戦期から脱冷戦、脱社会主義まで。終章に国際関係の倫理というテーマが提出され、個人的には一番関心をそそられたが、短い記述で片づけられてしまった。

 この本で一番充実しているのは、戦後国際関係史なので、そのダイジェストを読むのには一番適しているかもしれない。