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貝塚茂樹『中国の歴史』上(岩波新書)

中国の歴史(上) (岩波新書)

中国の歴史(上) (岩波新書)

 本書は中国の通史であり、神話の時代から三国時代までの中国の変動について記述している。すぐれた武将が天下をとり王朝を築くが、その政治の失敗や、後継ぎの無能さにより衰退していくのがデジャヴのように繰り返される。そこに、匈奴などの異民族の問題も絡んできて、対内的統一と対外的な牽制力の両方が中国には必要とされていたことがよく分かる。農民や豪族をいかにてなづけるか、そして、儒教などの思想を統治にいかに生かしていくか。中国の政治家たちはそのような問題と直面しなければならなかった。

 個人的には、第一章「中国の自然と人間」が面白く、中華思想であるとか、メンツを大事にするとか芝居がかっているとか、忍耐力の話とか、そういうものが、中国の地理的歴史的条件によって説明されると同時に、逆に中国の辿った歴史をある程度説明できるのが面白かった。