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加藤晴久『ブルデュー 闘う知識人』(講談社選書メチエ)

 

ブルデュー 闘う知識人 (講談社選書メチエ)

ブルデュー 闘う知識人 (講談社選書メチエ)

 

  現代の社会学者として注目度の高いブルデューへの入門書。批判的知識人として、現実を直視し、チームワークを重んじ、何か役に立つことをしようとしていた。教育改革など政治に対する発言も積極的に行った。彼の理論的なタームは後代に影響を与えた。

 「ハビトゥス」:知覚し評価する仕方、行動する仕方。子供が家庭環境などで獲得するのが一次ハビトゥスで、学校や職場などで獲得するのが二次ハビトゥスである。

 「資本」:経済資本、文化資本、社会資本、象徴資本がある。経済資本は経済力。文化資本は学歴・教養など。社会資本は個人や集団が持っている諸社会関係の総体。象徴資本は人が持つ資本の権力性を正当と認めたときのその社会的重要性。

 「界」:社会空間が分化してできる、相対的に自立した空間。

 ブルデューは理論も実践もともにこなした巨大な知識人であることがよく分かった。その背景にはサルトルフーコーなどの知識人像もあったようだ。理論的にも、特に真新しいものだとは思わないが、重要な概念を適切に分類していて大変参考になるものだった。これから原典に当たっていきたい。