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世代間の齟齬について

 私は地方の比較的大きな企業に勤めているのだが、最近特に管理職の世代と若手の世代との価値観の相違が際立ってきていると感じている。今、労働環境は転換期に来ていて、新しい価値観が次々と市民権を得てきていると同時に、それに対応しきれていない古い世代が労務管理に困難を抱えている。

 

1 休暇の取得について

 今、日本の有休所得率の低さが問題視されている。だが、管理職の世代は依然有休取得に消極的である。実際、私も以前月1のペースで有休を取得していたら、管理職自ら私に「そんなに休むな」と言いに来たことがあるし、休むときにいちいち理由を聞かれたり、休んだ後に軽い嫌がらせを受けたりすることもある。休暇の所得について意識の違いは結構はっきり現れている。

 

2 ハラスメントについて

 今、パワハラやセクハラには非常に厳しい目が向けられている。ところが、管理職の世代は依然コンプライアンスに関する知識や意識に乏しい。これは彼らの時代がハラスメントについて緩かった時代だからだ。だからパワハラがあってもそれを「指導」として黙認したり、セクハラがあっても男性優位的な考えで許容してしまう。

 

3 超過勤務について

 今、日本の残業の多さと労働効率の低さが問題視されている。だが、管理職の世代はまさにバリバリ残業して日本の経済をけん引してきた世代だ。残業肯定論者が多いのもうなずける。しかし、仕事に慣れていないとか仕事が多いとかで残業するのは分かるが、付き合い残業であるとか残業しないと「仕事をしていない」とみなす価値観はもはや時代遅れである。

 

4 個性の扱いについて

 今、時代は多様性を尊重する個性の時代である。だが、管理職の世代はみんな均質化していこうという発想のもと教育されている。同じ人たちが同じように働き異質な人を排除していくというまさに日本的な価値観に染まっている。だが、これからは多様な労働者の多様な長所をうまく寄せ集めて総合していく時代である。

 

 このように、昨今の労働をめぐる価値観は大きな転換点にあり、新しい価値観で働く若手とそれに対応しきれない管理職という図式が生み出されていて、そこに少なからず軋轢が生じている。管理職も若手もそれぞれの価値観を尊重し合い、日本のより良い姿を探っていく時ではないか。