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枝廣淳子『地元経済を創りなおす』(岩波新書)

 

  地域の経済を立て直す処方箋を書いた本。

 地域には交付金や外部からの需要によってお金が入ってくる。だが、このお金は例えばエネルギーを地域外から買うことなどによって地域外へと漏れてしまう。この「漏れ穴」を防ぐことにより地域内で経済を循環させ、域内乗数効果を発生させ利益を地域にとどめる必要がある。

 例えば「地消地産」ということで、地元で消費するものは地元で生産するとか、投資をする際には地元の企業に融資している金融機関に投資するとか、あるいは住民自ら公共的な企業の株主になるとか、そのような処方箋が考えられる。

 本書は具体的な数字を上げたりしながら地域の経済の望ましい在り方を説得的に提示していて、たいへん勉強になる。仕組みは難しくないし理屈も難しくない。ただ実際に行動に移すのはそれなりに難しいと思うが、これからどんどんこのように地域を活性化しなければ地域経済は立つゆかなくなる。勉強になった。